テリー・ボジオのドラムが炸裂するブレッカー・ブラザーズのライヴ盤『ヘヴィ・メタル・ビ・バップ』
ジャズロックという範疇では、ソフト・マシーン、ニュークリアス、ブライアン・オーガー、ヘンリー・カウといったイギリス勢の豪華な布陣に比べて、アメリカのグループはとても少ない。それは、そもそもジャズロックがイギリスの得意とするプログレや実験音楽と密接な関係にあるからだろう。アメリカにおいて、イギリスのジャズロックと似た性質を持つのはブラスロックかもしれない。才人アル・クーパーが1967年に結成したブラッド・スウェット&ティアーズ(以下、BS&T)はブラスロックの先駆けとして知られるが、その少し後にはシカゴやチェイスなどの人気グループの登場でブラスロックは日本でも市民権を得る。今回取り上げるブレッカー・ブラザーズの『ヘヴィ・メタル・ビ・バップ』は、彼らの4枚目のアルバムで、ブラスロックとジャズロックのスピリットを持った硬派のフュージョン作品である。ドラムにはフランク・ザッパのバックを務めていたテリー・ボジオを迎えている。1曲目以外はライヴ収録ということもあって、ボジオの激しいプレイが他のメンバーを煽りまくっており、彼らのアルバム中、最もラディカルな仕上がりとなっている。