Stikky

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    Stikkyスティッキー

    かつてこれほどまでにバカでふざけたバンドがいただろうか? いや、たくさんいただろう。しかしスティッキーほど、痛快なバカはいなかったハズ。その突き抜けた勢いのスラッシュ・サウンドに乗る、突き抜けてバカげた歌詞。あまりにも高速で叫ぶので、ネイティヴでもなんて言っているのか判別不能だという。彼らの楽曲時間は20秒や30秒は当たり前、たった1秒の曲もあり、さらにスパイダー・マンやバット・マンのカヴァーもするなど、なんでもありだ。そんな彼らのアルバム『ホエアズ・マイ・ランチペール?』には“27/300”という、まるで300枚限定プレスであるかのような数字が記載されている。偶然これを手にしたコレクターのなかには、狂喜してレジ・カウンターへ走ったものも少なくないだろう。しかしこの数字はまったくの出鱈目で、実際はすべてのアルバムに同じ数字が記載されているのだ。ふざけたヤツらである。
    しかしムリヤリ真面目な見方をすれば、スティッキーほど自由にものごとを表現していたバンドも珍しい。言ってはいけないこと、やってはいけないこと、そういった種々の柵を意に介さず、とにかく思う通りにやったのだ。なぜそんなに自由にやれたのか? それは、彼らがバカだったから……いや、彼らがパンクだったからに違いない。