Skip Spence

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    Skip Spenceスキップ・スペンス

    惜しくも99年に肺ガンで亡くなってしまったが、米国版シド・バレットとして未だカルト・アイドル視されるスキップ・スペンス。モビー・グレープのメイン・パーソンとして『Moby Grape』『Wow』という傑作を世に送り出した以外にも、クイックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィスやジェファーソン・エアプレインの初期メンバーとして活動したこともあり、サンフランシスコのロック・シーンには欠かせない存在であった。
    モビー・グレープ在籍中に、ドラッグによって精神に異常をきたし入院。以降、人生の半分以上を療養施設で送る羽目になってしまうのだが、彼のたった1枚のソロ作『Oar』(69年)は、そんな入院生活の合間を縫って録音されたもので、振幅の激しい精神状態をそなまま反映したような出来である。歌から楽器まで、スペンスが全てを1人でこなしたこのアルバムは、アシッド・フォークともいえる幻想的な作品。しかしグループ時代にみせたルーツ・ミュージックに対する咀嚼ぶりは相変わらず冴えわたり、ブルースやカントリーの断片が牧歌的に紡がれていく。
    リアル・タイムでは700枚しか売れなかったという『Oar』は、それでも"幻の名盤"として神格化され、99年にはトリビュート盤も発表された。ロバート・プラント、ベック、トム・ウェイツといった参加メンバーの顔触れを見れば、スペンスの世代を超えた影響力が窺い知れよう。

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