Sinead O'Connor

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    Sinead O'Connorシニード・オコナー

    シニード・オコナーは90年代を代表するアーティストのひとりである。そのあふれる才能とカリスマ性を考えると納得がいかないのだが、世間の関心は彼女の作品の本質よりも方法論の方に集まりがちだ。スキンヘッドという挑戦的なルックス。センセーショナルな話題に自ら飛び込んでいく姿勢。歯に衣を着せない発言で知られる女性ロッカー、ジョーン・ジェットとならんでオコナーは、コートニー・ラヴからP.J.ハーヴェイ、そしてリリス・フェア世代のすべての女性アーティストが進む道を切り開いていった。デビュー・アルバムはメインストリームのオルタナ・ヒットとなり、2nd『アイ・ドゥー・ノット・ウォント・ホワット・アイ・ハヴント・ゴット』は、プリンスの手によるシングル「ナッシング・コンペアーズ・トゥー・ユー」によって火がつき、90年代初期にもっともヒットしたアルバムとなる。しかし、不用意な政治的発言によってオコナーがマスコミに追いかけ回されるようになると、売り上げは伸び悩みを見せた。94年の『ユニヴァーサル・マザー』以降、オコナーはマスコミへの露出をパッタリとやめた。今こそ散らばっていた活動の断片を集め、音楽に集中する時期なのだろう。声質の似かよった彼女のクローンが大量生産され、アダルト・オルタナティヴ界にあふれかえる中、シニード・オコナーはたった1人、彼女しかいないのだ。