スクリッティ・ポリッティの名盤『キューピッド&サイケ85』は80年代中期以降にデジタル録音の頂点を極め、多くのアーティストに影響を与えた
1980年以前と以降では、ポピュラー音楽の何が変わったのか。そのもっとも大きい変化は、デジタル機器を使った録音方法だと言える。70年代末に劇的な進化を遂げたデジタル技術は、ロック、ソウル、ファンクなどのポピュラー音楽の概念を変えてしまうほどの影響力を持ち、ジャズやカントリーを除いたほとんどのジャンルで主流になっていく。ところが、80年代初頭の録音ではまだサウンドが硬く、チープさが否めなかった。しかし、84年に12インチシングルとしてリリースされたスクリッティ・ポリッティの「ウッドビーズ」は、人力演奏とデジタル楽器の良さをミックスした驚異的なサウンドを持ち、以後のポピュラー音楽への指針ともなった記念碑的な作品だ。今回は、そのナンバーも収録したアルバム『キューピッド&サイケ85』を紹介する。