ロッド・テイラー唯一の作品『ロッド・テイラー』は、数多あるSSW系アルバムの中でも最上級の傑作
この連載ではロックやソウルを中心に多くの重要作品を取り上げてきたが、本作『ロッド・テイラー』は中でも最も知られていないアルバムだろう。しかし、これほど完成度の高い作品もないのである。日本でアメリカ産のシンガーソングライター作品に注目が集まっていた70年代はじめ、高校生の僕はいくつかの輸入盤専門店に入り浸って掘り出し物を毎日のように漁っていた。そこで出会ったのがジャクソン・ブラウンであり、ジェシ・コリン・ヤング、ボビー・チャールズ、ドニー・フリッツ、ネッド・ドヒニー、エミルー・ハリスたちである。どの作品も素晴らしい仕上がりで、リリース後50年近く経った今でも聴き続けており、その想いは未だに変わってはいない。中でも、ジャクソン・ブラウンやイーグルスのデビュー作をリリースしたアサイラムレコードは良作をたくさんリリースしていたから、アサイラム所属のアーティストについては、知らないアーティストでもなけなしのお金をはたいて買ったものである。今回取り上げる『ロッド・テイラー』も“アサイラムからリリースされた”というだけで購入した作品である。SSWファンにとってこのアルバムは名作の多いSSW系作品の中でも抜きん出た存在であり、ヴォーカル、楽曲、演奏、どれをとっても文句のつけようがない傑作である。