Robbie Dupree

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    Robbie Dupreeロビー・デュプリー

    洗練されたヴォーカルが胸に沁み渡る、いわゆるブルー・アイド・ソウル曲「ふたりだけの夜」のヒットにより、その名を轟かせたロビー・デュプリー。マイケル・マクドナルドと同様のヒゲ面からは透明感や爽快感など微塵も感じ取れないが、作品そのものは「音楽のピュアネスは毛の濃さとは比例しない」という心の叫びが聞こえてきそうなほど、清浄なムードに満ちている。エレクトリック・ピアノのカクテルのようにひんやりした音色と、男と女の出会いを期待させるハネの効いたドラム……クールでアダルトなエロティシズムが満載だ。
    デュプリーの成功の要因としては、本人の才能ももちろんだが、元クラッキンのリック・チュダコフとピーター・バネッタによるアーバン色濃厚なプロデュース・ワークの功績も大きいだろう。しかし、デビュー作『ふたりだけの夜』の大成功という追い風に乗り発表された2ndアルバム『僕だけの街角』は、高品質な内容に反してセールス的には惨敗。そんなキャリアの浮沈の激しさは、まさにこの世の人生のありさまを投影したような趣である。