Missing Foundation

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    Missing Foundationミッシング・ファウンデイション

    ニューヨークを拠点にしていたグループ。バンドといえばバンドだが、ピーター・ミッシングを中心に"MF FACTORY"とも自称した集団だった。スタートは80年代半ば。"出口ナシ"の閉塞的な音楽性を武器にし、ライヴ・ハウス/クラブでよりも、ニューヨークの不法占拠の場所や街頭でのプレイが彼らの原点だった。いわゆる非合法なライヴ活動で知名度は高まり、ホームレスの人や失業者のためのボランティア・ライヴもやって支持者を集める。しかし一方で、ライヴ・パフォーマンス自体は破壊的なものでもあったゆえ、当局から目をつけられ、ニューヨークでのライヴはやりにくくなっていったという。
    いわゆるパンクの方のストリート・バンドとは違うのだが、ある意味リアルなアンダーグラウンド・ストリート・バンドだったとも言える。ミッシング・ファウンデイションは、アナーキーなアティテュードをもっていたし、極めてポリティカルでもあった。88年リリースの2ndアルバムは『1933 Your House Is Mine』だが、そのタイトル中の"1933"とは、ドイツではヒトラーが政権を握り、アメリカではルーズベルトがニューディール政策を始めた象徴的な年なのだ。
    音楽の方だが、87年の1stの『Missing Foundation』では、プリミティヴなパーカッション、アジテイション・ヴォイス、ノイズ、ダブが混在する煽情的なサウンドだった。3rdの『Demise/Humanity』(89年)、さらに『Ignore The Culture』(90年)、『Go Into Exile』(92年)とリリース。音は多少整理されていくが、混沌とした基本ラインは不変だ。それからしばらくして、ミッシング・ファウンデイションの活動情報は途絶えるが、アグレッシヴな音や姿勢は十二分にパンクだった。事実、メンバーの1人だったボーンズは93年以降、実験的な要素もあるハードコア/パンク・バンドのディサソシエイトでベースを弾く。 (行川和彦)