MALICE MIZER、メジャー唯一のアルバム『merveilles』でも魅せた強烈な個性
2000年代までは隆盛を誇ったカテゴリであるものの、正直言って最近では停滞感が漂っていることも否めない“ビジュアル系”。まぁ、今までも揶揄の対象となることは少なくなく、曰く「音楽性が希薄すぎる」、曰く「歌も演奏が下手」、曰く「あんなの全然ロックじゃねぇ」等々、結構なセールス、ライヴ動員があった頃も散々な言われ方を耳にしたことがある。反論しづらい面もある。だが、この日本固有の音楽カテゴリーをこのままフェードアウトさせるのも残念なことではあると思う。とりわけ、男性が美麗な女性と見紛うように変身する様子は、歌舞伎や大衆演劇にも通じる様式美であり、日本が世界に誇れる文化でもあろう。個人的には、あのビジュアルには少女歌劇に対する若干倒錯した憧憬を感じられなくもなく、悪し様に否定してはいけないような気にもなる。音楽を超越した演芸ジャンルとして続いていってほしいと思う。というわけで、今回はそのビジュアル系の代表格、MALICE MIZERを取り上げる。