驚きのダイレクトカッティングで録音されたリー・リトナーの『ジェントル・ソウツ』
反体制の香りで若者の人気を集めたロックではあったが、70年代半ば過ぎにはレコード会社が巨大産業になり、大人が聴くための耳触りの良い音楽へと変わっていった。“ロック=大人の音楽”になろうとした時、反骨心を持った若者たちがパンクロックを生み出し、社会人になったかつてのロック少年たちはAORやフュージョン(初期はクロスオーバーと呼ばれた)を好んで聴いた。まぁ、現実には、こんなにはっきりと二分化されていたわけではないが、当時を知っている者にとっては当たらずとも遠からずだった。パンクロックのファンたちはフュージョンを毛嫌いしていたが、本作『ジェントル・ソウツ』のようなロックスピリットを感じさせるフュージョン作品があることを忘れてはいけない。なぜロックスピリットがあるのかって? それは本文を読んでいただきたい。