カルトボーイ達に捧ぐ。Momが描くSF物語『21st Century Cultboi Ride a Sk8board』
本作で歌われる「話がしたい」という欲求は、「考えてみよう」という提案に他ならない。私たちの生活について、社会について、そしてもちろん、愛すべき音楽について。幾重にも張り巡らされた情報(=音と言葉)で描かれる、架空のSF物語『21st Century Cultboi Ride a Sk8board』。これは音楽が洪水のように消費されていく時代に抗し、「聴く」という主体的な行為を取り戻す誠実な歌、そしてMomという作家による批評である。藤子・F・不二雄の諸作や筒井康隆の『笑うな』からインスピレーションを得たという本作は、不吉でありながら笑いがちりばめた、諧謔的な作品である。言葉に誘われるように歪な響きを持った音像も、本作のムードには欠かせない要素だろう。藤子・F・不二雄が「SF」を「サイエンス・フィクション」ではなく、「SUKOSHI FUSHIGI」と訳していたことを思い出す。本作で聴けるのはそんな少し不思議なサウンド・コラージュである。本作の過激さについて、Mom本人は「武装」と説明している。それはつまり、守るためのものであり、戦うためのものだろう。キーワードは「人間らしく」…彼が何と向き合っているのか垣間見える、そんなインタビューになった。