FIVE NEW OLDが鳴らす、分断される時代に鳴るべきポップとは。集大成となる新作と、次なるフェーズを語る
本当にぶっち切った。80’sの空気を呼び覚ます煌めくサウンドと、四拍子のリズムで疾走していく「Fast Car」がいきなり最高。HIROSHI自身がバンドの集大成と語るように、『Emulsification』は彼らの音楽におけるひとつの到達点である。幼少の頃から親しんだブラック・ミュージックと、現在ロックバンドの最前線にいると言っても過言ではないThe 1975のサウンド・デザイン、そして10代の頃に熱狂したポップパンクの音を結合させ、独自の道を歩んできたFIVE NEW OLDは本作で確固たるアイデンティティを獲得した。さて、本作のリードトラックではアフロビートが取り入れられているが、リズムというのは、最も明解な人類共通語だろう。これからは世界と日本を結ぶ音楽を目指すというFIVE NEW OLDにとって、図らずも自身の道を切り拓くような楽曲が納められているアルバムである。新作のタイトルが『Emulsification』(和訳:乳化)となった理由から、排他的な時代の空気の中で鳴らすべきポップの話まで、余すことなくHIROSHIの音楽観を語ってもらった。