Kid Capri

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    Kid Capriキッド・カプリ

    DJプレイ中に発する「キィ〜ドカプリッ!」というインパクト大なシャウトで、シーンを席捲したヒップホップDJ界のパイオニア/ヒーロー、キッド・カプリ。彼のDJプレイたるや正しくゴリ押しスタイルである。ヒップホップ/R&B/ダンス・クラシック/ダンスホール・レゲエ……と、とにかくフロアを熱狂させるゴキゲンなナンバーたちをセンスよく(メガ・)ミックスしていく。そこに前述のような煽り文句を入れて、彼はフロアをいっそう盛り上げるのである。ちなみに、今やこのシャウト・スタイルはクラブDJやミックス・テープDJたちの間でクリシェの手段となっている。キッド・カプリへの親愛や尊敬の念を明らかにしている、DJ MASTERKEYのそれもまた然り。
    そのあり余るパワーを注ぎ込んだカプリのデビュー作『ザ・テープ』(91年)は、ヒップホップ史に残る名作だ。——ザラついた質感のビートを基盤に、レトロなソウルのサンプリングが渦巻くファンキーなサウンド群とカプリ自身のアッパーなラップが見事にマッチング。時折チル・ムードたっぷりの曲も交えて、トータル・バランスを巧みにとっている。
    その後しばらくはDJ稼業に明け暮れ、プロデュースもポツポツという具合であったが、98年に待望の2nd『サウンドトラック・トゥ・ザ・ストリーツ』をリリース(カプリはトラック・メイクに専念)。このパイオニアを心からリスペクトする豪壮なラッパーたちが一堂に集結し、フロア・ライクなアルバムを完成させた。もちろん、例の雄叫びも冴え渡っている。