アメリカ庶民の苦悩を淡々と歌うジョン・プラインのデビュー作『ジョン・プライン』
4月7日、ジョン・プラインが新型コロナウイルス感染症で死んだ。なぜか、すごく悲しかった。彼が亡くなって、こんなに悲しくなるなんて想像もしていなかったので不思議だったのだが、自分にとって彼の存在が“いて当たり前”だったのだということに気づいた。そういう意味では、ジョン・プラインは志村けんの存在とよく似ている。志村の死は未だに多くの人の心に穴をあけてしまっているが、その死がこんなにショックに感じると想像できただろうか。それだけ、志村の真摯な芸が日本人の心の中に入り込んでいたのである。まさしく、その卓越した芸を通して、志村という人間を無意識のうちにリスペクトしていたのだろう。ジョン・プラインは日本ではほとんど知られていないが、僕の大好きなシンガーソングライターだ。今回取り上げるのは、彼のデビューアルバムとなる『ジョン・プライン』で、本作と出会ってから45年ほど経つが未だに愛聴し続けている。