Harold Melvin and The Blue Notes

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    Harold Melvin and The Blue Notesハロルド・メルヴィン・アンド・ザ・ブルー・ノーツ

    "黒いバート・レイノルズ"とはよく言ったものだ。黄金期のハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツのリード・ヴォーカルを務めたテディ・ペンダーグラスを指したキャッチ・フレーズだが、オスの体臭を漂わせるエロティシズムたっぷりな歌唱にピッタリくる。
    オージェイズと並ぶフィリー・ソウルの雄、ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツは、54年に結成。72年に<フィラデルフィア・インターナショナル>と契約を結ぶ。それまでバックでドラムを叩いていたテディをいきなりフロントに据え、彼らの黄金時代がスタート。「アイ・ミス・ユー」「愛の絆」(共に72年)、「愛の幻想」(73年)といったバラード/ダンサーは、フィリー・ソウルの華麗でロマンチックな側面を象徴する傑作となった。そしてプロデューサー・チーム、ギャンブル=ハフの楽曲/アレンジとMFSBの演奏は、彼らの個性を最大限に引き出している。シルキーなオーケストレーションを施し、バラードはよりドラマティックに、ダンサーはよりダイナミックにアレンジ。その上をテディのバリトン・ヴォイスが嵐のように吹き荒れる。——歌とサウンドが奇跡的なレベルで交差するソウル・ミュージックは、まさに第一級の芸術品といっても過言ではないだろう。
    しかし、76年にテディはグループを脱退。ソロ・シンガーへの道を歩み始める。グループは、さまざまなシンガーを迎えながら活動を続けるが、97年、リーダーのハロルド・メルヴィンが死去したことにより、その歴史に幕を下ろした。