ジェネシス独自のサウンドを確立した黄金期のメンバーによる『怪奇骨董音楽箱』
ジェネシスは1967年に結成され、ピーター・ゲイブリエルをはじめ創設時のメンバーは同じ学校に通っており、言わば部活の延長のような存在であった。彼らが変わったのは、メンバーの脱退で外からの補充が必要になった時だ。オーディションによってドラムのフィル・コリンズとギターのスティーブ・ハケットが加入し、リハーサルを繰り返すことで彼らの音楽は一気に進歩する。今回取り上げるのはコリンズとハケットが参加した最初のアルバム『怪奇骨董音楽箱(原題:Nursery Cryme)』(‘71)で、通算3作目となる。本作はジェネシス独自の演劇や童話をモチーフにしたサウンドが確立されようとしていた途上にあり、完成度という意味では4作目の『フォックストロット』(’72)に、ヒット作という意味では6作目『月影の騎士(原題:Selling England By The Pound)』(‘73)に及ばないが、秀逸なジャケットと発売当時の邦題のインパクトから本作を選ぶことにした。