Eric B. and Rakim

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    Eric B. and Rakimエリック・ビー・アンド・ラキム

    ヒップホップ好きを自称するすべてのリスナーがフェイヴァリット・アルバムとして挙げるであろう、エリック・B.&ラキムの1st『ペイド・イン・フル』(87年)。——ラキムのバリトン・ヴォイスのラップは、ストロング・スタイルながら実に渋い味わいで、いぶし銀の輝きを放っている。またエリック・B.が作り出す、ファンキーなレアグルーヴ・ネタを中心に使ったサンプリング・サウンドは、なんともソウルフルな仕上がりだ。加えてイナタいスクラッチが、それらのトラックが持つヒップホップ特有のラフな雰囲気をさらに強調している。——そういったすべての要素が溶け合った楽曲群には、ストリート感を携えた黒いグルーヴが渦巻いている。それが最高にカッコイイ。以降、エリック・B.&ラキムはそのコンビを解消する直前にリリースした4th『ドント・スウェット・ザ・テクニック』(92年)まで同様のスタンス/スタイルを貫き、安定した人気を博した。
    その後ソロ活動に重きをおいた彼ら。エリック・B.は『エリック・B.』(95年)を発表、メロウなヒップホップ・チューンを披露するが話題性においてはもうひとつの結果に。一方、ラキムは『エイティーンス・レター』(97年)と『マスター』(99年)をリリース、変わらぬ風味のある理知的なラップがかつてのファンから諸手を挙げて受け入れられ、両者の明暗がハッキリと分かれる結末となった。でもって、このラキムはヒップホップ・シーンとヒップホップ・ヒストリーを代表するリリシストであり、今もなおアーティストの見本となるような重要人物である。もしあなたがラップ好きを自任するなら、このラキムの関連作を聴き逃すことは断じて許されないのだ。