Dose One

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    Dose Oneドーズ・ワン

    DJシグニファイだとかバック65だとかワイ?だとか、昨今において、いち時期“前衛的異端児集団”とか持て囃されたアンティコンの嫡子たちに目が注がれている。もちろん小規模かつ局地的に注目されているだけだが。注目されてはいるが、個人的にはいかにも白人的なダークかつアブストラクトかつスペイシーなエレクトロ・ヒップホップ音像(だけではないけれど)を嗜好しない身なので、あまりそっちディレクションのアングラものには関心を抱いていない。白人が小難しくヒップホップをこねくりまわした音楽が、アンティコン・サウンドに他ならないから……とかそういう凝り固まった不自由かつ観念的な理由じゃなくて、単純にイビツで捻くれたサウンドはあまり好きではないので。
    ゼムセルヴズのドーズ・ワンとジェルがサトルというバンドを組んだ、というニュースにもどうも胸が躍らないのだが(さすがに夢幻のスター集団クラウデッドには少し心弾んだが)、ことドーズ・ワンの、ヒップホップに軸足をおきながらも逸脱しまくるオタクな音楽性に目を見張ったのも確か。でも、それを「ヘンタイ」や「異質」という言葉で括る理由は分かるが、前衛的とか先鋭的とか、そういうポテンシャル先行の範疇のなかに落とし込むには、彼(ら)の音楽は狭小すぎる。そして、社会から虐げられた人々が生み出した音楽が面白いのであって、インテリ気取りの中産階級が排出した暇つぶし&自分探し音楽(例えばピストルズの影響下にあるアレとか)が、果たして極東の国に住むいち音楽好きの心に共鳴するかといえば、ハッキリと顎を下げることができないのが、まるで自然の摂理かのようにも思えてくる。