Dillard and Clark

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    Dillard and Clarkディラード・アンド・クラーク

    ひとくちにカントリー・ロックといっても、いろいろある。ベイカーズ・フィールドに代表されるホンキー・トンクにアプローチしたもの、ナッシュヴィル・スタイルのブルーグラスにアプローチしたもの、などなど……。前者の代表がグラム・パーソンズとすれば、後者のそれはディラード&クラーク。元バーズのジーン・クラークとシティグラス・チーム、ディラーズのダグ・ディラードによって結成されたグループだ。
    その1作目『The Fantastic Expedition of Dillard & Clark』(68年)は、カントリー・ロックの屈指の名盤である。2人に加え、クリス・ヒルマン(バーズ〜フライング・バリトウ・ブラザーズ)やバニー・リードン(フライング・バリトウ〜イーグルスのオリジナル・メンバー)が参加したこの作品では、クラークのフォーク・ルーツとディラードのブルーグラス・ルーツがナチュラルに溶け合い、極めて斬新なサウンドを創出せしめた。マンドリン/フィドル/バンジョーといったアコースティック楽器をベースにし、リズムを強調しないアレンジながらも、ストリングスやハープシコードでアクセントをつけ、古き良きホーボー・ソングに新たな息吹を吹き込むことに成功。
    続く、2nd『Through the Morning, Through the Night』(69年)は、よりブルーグラス寄りのサウンドを標榜してみせた。……と、この2枚を残し、残念ながらグループは解散してしまう。
    活動期間こそ短いものであったが、その功績は、フライング・ブリトウ・ブラザーズやバーズと同等に語られるべきだろう。