ストレートなハードロックで勝負したカクタスの傑作デビュー盤『カクタス』
ティム・ボガート(Ba)とカーマイン・アピス(Dr)のふたりの超重量級リズムセクションは、ロック界では一目も二目も置かれた存在で、まさにレジェンドという言葉が相応しいアーティストだ。彼らはジェフ・ベックに誘われ新グループを結成するために、在籍していたヴァニラ・ファッジを脱退するのだが、不運にもベックが交通事故を起こしてしまい、その話はご破算となった。ベックのロック界への復帰は難しいと判断した彼らは、ミッチ・ライダーやバディ・マイルスと一緒にやっていたジム・マッカーティ(Gu)と、アンボーイ・デュークスから引き抜いたラスティ・デイ(Vo)を加えて、カクタスを結成する。日本での認知度は高くなかったが、シンプルで乾いた音が持ち味のスタイルは後に登場してくるアメリカン・ハードロックの基盤となったと言える。今回は彼らの特徴が過不足なく表現された記念すべき1stアルバム『カクタス』(’70)を取り上げる。