Bush

ブラーVSオアシスという構図が泥仕合の様相を呈しはじめた94年のUKロック・シーンにおいて、そんな喧騒を横目に見ながら1stアルバム『シックスティーン・ストーン』を発表した、ギャビン・ロスデイル（g&vo）、ナイジェル・パルスフォード（g）、デイヴ・パーソンズ（b）、ロビン・グドリッジ（dr）の４人。エディ・ヴェダー風のしわがれたヴォーカルと、ニルヴァーナのディストーション・ギターとシニカルな歌詞に通じるサウンド・スタイルで、「UKからのシアトルへの回答」とプレスを騒がせた。また、当時ブリット・ポップ一色だったUKシーンでは、グランジ直系のバンドが相手にされるはずもなく、当然のようにグランジ本国のアメリカから人気に火がついた。
2ndアルバム『レザーブレイド・スーツケース』は、アメリカのオルタナティヴ・シーンを影で支えつづけたスティーヴ・アルビニがプロデュースし、USアルバム・チャートで１位を記録。前作でのハードなギター・ロックのスタイルを見事に昇華させた。一方では、ゴールディーやトリッキーを迎えたリミックス・アルバムをリリースするなど新境地も拓き、「グランジの焼き直し」という周囲の揶揄をものともしない屈強なバンドに成長する。
99年には3rdアルバムとなる『サイエンス・オブ・シングス』をリリース。グランジ以降の音楽がどこへ向かっていくのかは彼らが担っているといえる。