【インタビュー】Kotaro Saito、圧倒的な音楽情報量とメロディメイカーとしての非凡な才能を誇る新進気鋭のアーティスト
一人の音楽家がこの広い世界を変えようとしている。彼の名はKotaro Saito(齊藤耕太郎)。世界一のシェアを誇る音楽配信サービスSpotifyのバイラルトップ50(日本)で1位に輝いた昨年以降、配信リリースごとにリスナーを増やし、Spotifyのプレイリスト「Midnight Chill」では上位ランカーの常連になった新進気鋭の青年。大手広告代理店勤務から独立してCM音楽制作、やがてオリジナル楽曲リリースに至るドラマチックな経歴と、音楽マーケティングに関して講演活動も行う独自のノウハウ。そして何よりEDM、アンビエント、ファンク、ロックなどを網羅する圧倒的な音楽情報量とメロディメイカーとしての非凡な才能。彼はどこから来たのか、彼は何者か、彼はどこへ行くのか? 都心の閑静な住宅街に立つマンションの一室で、マニア垂涎の往年の名機、Prophet-5、Minimoog Voyager、ENSONIQ VFX、YAMAHA DX7、Roland JUNO-106などアナログシンセに囲まれて饒舌に語る、音楽家・Kotaro Saitoの素顔に迫ってみよう。
■僕が音楽を作る時に何を大事にしているかが一番重要
■今はここにある楽器が僕のすべてです
──ものすごいシンセサイザーなどの機材の数々ですね。
Saito:ここにあるシンセにハマって楽しくなっちゃって、それを主にして最近は曲を書いています。僕より年上の人からすると“何でこんな古い音楽やってるの?”って思うかもしれないけど、10代20代にとっては意外と新しいんじゃないかなと思うし、9月に発表する「Ginger」という曲もこのへんの機材をがっつり使っています。ブルーノ・マーズが3年ぐらい前からこういうサウンドをやっていますけど、せっかくだから本物(の機材)でやってみようと思って、Prophet-5や買ったばかりのKORGのMS-20とかをばんばん入れている。打ち込みじゃなくて手弾きなのも僕の中でのこだわりですね。パッと弾いた時の一音でグッとくるかどうかがすごく重要で、8月14日に出した「Offshore」も、9月20日に出す「Ginger」も、アナログシンセを一音弾いた瞬間に“この音、好き!”ということを基準にしています。
──元々、楽器マニアだったんですか。
Saito:いえ、ここにある楽器を買いだしたのは2年前くらいです。元々はKORGのKRONOSとローランドのRD-700NXで作っていたんですけけど、CMの仕事をやらせてもらえるようになってから、いろんなジャンルの曲に出会うんですね。元々ロックが好きでピアノが好きで映画音楽が好きで、オーケストレーションとロックが混ざったようなサウンドを目指していたんですけど、時代の流れもあるのか、シンセの音が耳に入って来るようになって“ロックでは出せない帯域の音が出てるぞ”とか“低音がすごく来るぞ”と思って、かなり後発でしたが2~3年前ぐらい前にEDMに夢中になって、トロピカルハウスなどが流行っていた頃、僕もこういう音を使ってみたいと思って調べてみたら、自分が憧れているアーティストのダフト・パンク、カルヴィン・ハリスとか、楽器志向の人たちはプロフェット5やボイジャーを使っている。“よし、自分も買おう”と思って、CMの仕事でいただいたギャラを全突っ込みして、1年で一気に揃えました。楽器に出会ったことによって自分の可能性が大きく開けていったので、それはこれからも一番大事にしたいところです。