ブリティッシュファンクの源流となったアベレージ・ホワイト・バンドの傑作『カット・ザ・ケイク』
スコットランド出身の、それも白人ばかりのソウル/ファンクグループがアメリカでチャートの1位になることなど、アベレージ・ホワイト・バンド(“平均的な白人バンド”という人を食った名前/以下、AWB)が登場するまでは誰も想像できなかっただろう。彼らの2ndアルバム『アベレージ・ホワイト・バンド』(‘74)に収録された「ピック・アップ・ザ・ピーセズ」は全米のラジオ局から火がつき、インストナンバーであるにもかかわらず大ヒット、ポップチャートで1位、R&Bチャートでも5位となる。しかし、大ヒットの直前に創設メンバーのロビー・マッキントッシュ(Dr)が、ドラッグのオーバードーズで亡くなるという不運に見舞われる。ファンクグループにとってドラムはグループの要だけに活動の継続が危ぶまれたが、代わりに参加した黒人ドラマーのスティーブ・フェローニはマッキントッシュよりもグルーブ感に長けた重量級プレーヤーで、AWBはさらに飛躍することになる。今回紹介するアルバムは、彼らの3rdアルバムとなる『カット・ザ・ケイク』。チャート的には前作と比べると振るわなかったが、アルバムの充実度は本作のほうが上で、ブリティッシュファンクのみにとどまらないAWBの都会的なソウル感覚は多くの後進グループに影響を与えた。