アーント・サリーが真のパンク精神を注ぎ込んだ伝説のアルバム『Aunt Sally』
音楽をその様式や形式にカテゴライズにしてはいけないと思っていても、こうして文章で表す時にはこの上なく便利なので、気軽に使用している“音楽ジャンル”という言葉。しかし、本来その音楽が育んできた歴史や精神をも内包する概念であり、単にそのスタイルを示すだけのものでない。今回、紹介するアーント・サリーの音楽性はまさしくそれであり、性急な8ビートで刻まなくとも、反体制のリリックを吐かなくとも、髪を立てなくとも、パンクの魂は十分に表現できることを、すでに70年代後半から体現していたバンドである。