野沢享司

727 views

    野沢享司ノザワキョウジ

    70年代フォーク全盛期、中津川フォーク・ジャンボリーで斎藤哲夫、あがた森魚らとともに活躍。ハーモニカを吹きながら右手でオープン・チューニングのギターを豪快にかき鳴らし、さらに左手でおもちゃのピアノを弾くという、まるでジャグラーのような妙技は必然的に喝采の的となった。72年にファースト・アルバム『白昼夢』を発表。ブルージーなギターの弾き語りは、人を食ったような歌声と絶妙に調和し、また当時のフォーク・シーンを冷静に見つめる視点も感じられる。それから5年後の77年にはセカンド・アルバム『KYOJI TRAVELLIN'』をリリース。前作とはうって変わった軽快で陽気なサウンドを展開した。フォークの人気が終息し始めると、一般的には「評価されなかった人」というレッテルを貼られるが、そのどこか斜に構えて社会を見つめる様は、真のフォーク・シンガーと評されて余りあるものだ。99年には沈黙を破り『FENDER BENDER〜 遥かな海へ』を中川イサトのプロデュースでリリース。ギター1本によるインストゥルメンタル曲をレコーディングし、ビートルズをカヴァーするなど現役ぶりをアピールしている。