赤痢

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    赤痢セキリ

    女性、というか女の子バンドである。要するにガールズ・バンド。そして、すごいバンド名である。しかも83年8月の結成当時、メンバーはまだ中学生だった。まず、ここでびっくりするだろう。そして、初めてレコードが出たとき、さらに波紋を呼んだ。85年に出したその7"EPに入っていた「夢見るオマンコ」という曲名と詞が、やはり衝撃だったのだ。赤痢はずっとインディ・レーベルからリリースしていたバンドだったとはいえ、その1枚で一部の人には二度と忘れないインパクトを、やんわりと刻み込んだのだ。ただし、キワモノと思う人もいるかもしれないが、赤痢はすべてが自然体なのである。
    よく赤痢はパンク・バンドと言われてきたが、そんな感じに聴こえる曲もあるとはいえ、少なくてもパンク・ロックのスタイルをプレイしたバンドではない。何しろ赤痢はスタートしたとき、誰もが楽器をやったことはなかった。そういう意味では素朴にパンクだったが、とにかく思ったままに演奏し、思ったままに歌っていったのだ。ふわふわしているが、ルーズなローファイではなくシャキッとしているし、自分なりの抑揚で歌うヴォーカルも、そのナチュラルなたたずまいは、月の満ち欠け、潮の満ち干きのようだ。作品もコンスタントに発表し、アルバムは10枚ほどになる。ちなみに、CDは<ALCHEMY>からリリースし、95年の『Three』が最新作。おくゆかしく民俗音楽の要素も溶けこませ、すきとおったサウンドは、この先どうなるかという期待せずにはいられないものだ。 (行川和彦)