羅針盤

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    羅針盤ラシンバン

    ボアダムスや想い出波止場のメンバーとして知られる山本精一が中心になって、88年に結成。とにかく山本はホントに多彩なことを様々な人とやり続けているのだが、羅針盤でやろうとしたことは、いいメロディの歌ものということだろう。そういった曲は何やってもOKなバンドの想い出波止場で多少披露していたが、もっと焦点を絞ったバンドでやりたかったようだ。というわけで羅針盤は、山本のソロ・ユニットではなく、あくまでもバンドである。そして山本は、ありじごくやヰタ・セクスアリスなど、他のバンドでも活動しているメンバーを揃えたのだ。
    山本のそれまでの活動からいって、またノイズみたいなものやワケわかんないものをやるのではという憶測も、羅針盤にはあっただろう。しかし実際に聴き、その取っつきやすい音楽性は逆に衝撃だった。フォーク・ロックやポップスと称されそうなサウンドなのである。ただしそこはクセ者バンド、ただ聴きやすいだけではない。シンプルだが音作りには気を使い、どろどろしたものではなくさっぱりした感じだが、実はサイケデリックな趣も潜んでいる。また、日常光景を描いている感じだが、達観した風情の詞も見逃せない。
    1stアルバム『らご』は97年に発売された。大切なことなので付け加えておくと、この『らご』、もともとはベースのスハラ・ケイゾウが主宰するレーベルの<GYUUNE CASSETTE>からリリースしたものだ。そしてまもなく、リマスタリングを施し、アート・ワークを変えてメジャーのレコード会社から出たのである。そして翌年、『せいか』を発表した。 (行川和彦)

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