深みやエグみにこそ滲むリアル。松川ジェットが昭和の女性アーティストのカバーに込めたコンセプトとは?
来年、結成20周年を迎えるLACCO TOWERの活動と並行して、松川ケイスケ(Vo)と真一ジェット(Key)はバンドのセルフカバーや他アーティストのカバー主体のライブ活動を続けてきた。その二人がこの度、日本の音楽史、より明確に言うと歌謡史に脈々と生き続ける女性アーティストの作品と真剣に向き合ったのが、今回のアルバム『彼女の出来事』だ。美空ひばり「真っ赤な太陽」、中島みゆき「悪女」、山口百恵「イミテイション・ゴールド」などなど、強烈な存在感を誇るオリジナルをいかに昇華するのか。実際、蓋を開けてみれば、著名な楽曲に腰が引けるどころか、オリジナルへのリスペクトと、昭和という時代の女性の生き方が浮かび上がる。そして、ボーカリスト松川ケイスケとアレンジャーでありプレーヤーである真一ジェットの個性もバンド以上に詳らかになるというチャレンジングな内容でもあった。