小坂忠&ウルトラ

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    小坂忠&ウルトラコサカチュウ・アンド・ウルトラ

    "日本のジェイムス・テイラー"と言い切ってしまってもいい小坂忠。70年代のキャラメル・ママ〜ティン・パン・アレイとのコラボレイションが何といっても有名だが、76年の『気まぐれ天使』は、そのキャリアの中でも異色作と言えるだろう。当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった石立鉄男を主役に迎えたテレビ・ドラマのサウンドトラックであるこの作品では、"主題歌の大御所"大野雄二がほとんどの作曲を手掛けている。小坂が提供した作品は1曲のみで、しかもインストゥルメンタル!? 全編を通しても、声が聴けるのはたったの4曲しかない。——しかし、一聴して小坂とわかるソウルフルなヴォーカルは、ここでも健在。ニュー・ソウル〜AOR風の演奏に乗せて、気持ち良さそうに喉を鳴らす。特にケニー・ランキンやマイケル・フランクスを彷彿とさせるボサ・ノヴァ・ナンバー「オレンジの夕暮れ」では、力が抜けながら濃厚な味わいを醸す、小坂らしい歌唱が聴ける。