ヤン冨田

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    ヤン冨田ヤントミタ

    日本において、いち早くヒップホップ(=エレクトロ)とアシッド・ハウスを実践した、20世紀音楽万国博覧会おじさん。偶然から必然性を生み出すことに没頭し、ジョン・ケージによる4分33秒間演奏者がピアノの前で何もせずに佇むだけの名曲「4分33秒」のカヴァーを手掛けたり、グランドマスター・フラッシュの頭に電極をつけて脳波を測定しながらスクラッチさせたり、3枚の異なるレコードを120度ずつ繋ぎ合わせて1枚のレコードを制作したりと、さまざまな手法で極めて純粋な思考の音楽を奏でてきた。現代/電子音楽のみならず、エキゾチック・ミュージックにも造詣が深く、スティール・パン奏者としても有名。人体と自然の摂理から生み出される哲学的かつ神秘的なサウンドを分かりやすく噛み砕いて我々に提供してくれる。もちろん、95年にプロデュースしたドゥーピーズもそれら探究の一環だ。そこからも分かる通り、おじさんが現代音楽とポップ・フィールドを密接にリンクさせた功績はあまりに偉大なのである。