ジャックス

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    ジャックスは日本のロック史上もっとも重要で、先進的なバンドのひとつだった。歌謡曲と、洋楽の物まねロックと、歌謡曲化したロック(GS)と、メッセージ・フォークしかなかった60年代末の日本の音楽シーンに突然投げ込まれた爆弾のようなものだったのである。遠藤賢司、南正人、はっぴいえんど、フォーク・クルセイダーズ、三上寛といったアーティストが押し進めていた動きは、言葉通りの意味でオルタナティヴ・ロックの嚆矢だったとも言えるが、なかでもジャックスの特異な音楽世界は、安易なフォロワーの登場を許さないほど、いまだに唯一無二の存在感でもって屹立している。
    早川義夫(vo,g)を中心に結成され、67年にギタリストの水橋春夫が参加してラインナップおよび方向性が確立し、68年に東芝から1stアルバム『ジャックスの世界』を発表する。早川義夫の、内面世界をイマジネーション豊かに描き切った斬新な歌詞と、魂の奥底から絞り出されるようなヴォーカル・スタイル、日本でおそらくは初めて、サイケデリックの深遠を表現しきった音楽性と、あらゆる意味で革命的だった本作は、しかしGS全盛期だったリアルタイムではまったく評価されることがなかった。さらに『ジャックスの世界』発表直前に水橋が脱退、翌年つのだひろが参加した2nd『ジャックスの奇蹟』が発表されるころには、すでにバンドは解散していたのである。
    解散後、早川は69年にソロ・アルバム『かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう』を発表するが、その後94年に復帰するまで長い隠遁生活に入り、木田高介は80年に死去する。ジャックスの活動期間はわずか数年、発表されたオリジナル・アルバムはたったの2枚に過ぎない。だがジャックスの及ぼした影響の大きさは絶大だった。 (小野島 大)

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