エコーズ

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ギターをペンに持ち替えて、今や歌う芥川賞作家となった辻仁成。そんな彼の原点がロック・バンド、エコーズだ。
86年にデビューして以来、エコーズは一貫して生真面目なメッセージを送り続けてきた。もともとニューヨーク・パンクの雄、テレヴィジョンに刺激を受けて結成されたという出自からも、社会性のある歌詞に対するこだわりが伺え、また、それはサウンド面にも深い影響を及ぼしている。クラッシュなどのパンクをルーツに、エコー&ザ・バニーメン、U2といった英国ニューウェイヴを通過したエッジの効いたエレクトリック・ギターと、辻の文学的な歌詞を引き立たせるアコースティック・ギターが絶妙なコンビネーションをみせるサウンドは、ある意味非常にストイックなロックだった。
9枚のアルバムを残して91年に解散してしまったエコーズだが、最後まで正当な評価を得ていたとは言い難い。しかし、それから約10年経った00年、辻が初の脚本を手がけたドラマ『愛をください』の主題歌となった「ZOO」が、Jポップ・シーンで大きな反響を呼んでいる。バンドにとっては皮肉な話かも知れないが、この名曲に再びスポットライトが当たったことは、旧エコーズ・ファンにとっても、若い世代のJポップ・ファンにとっても非常に喜ばしいことであろう。

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