L→R MAKOTO(Ba)、RONZI (Dr)、TOSHI-LOW(Vo)、KOHKI(Gu)

L→R MAKOTO(Ba)、RONZI (Dr)、TOSHI-LOW(Vo)、KOHKI(Gu)

【BRAHMAN】怒りの向こう側に何があ
るのか?といったら最後に認め合うこ
と、赦すことじゃないか

ニューシングル「不倶戴天」は猛烈な怒りにその身を燃やしながら“赦す”という境地へ着地する、かつてない深みを持つメッセージチューン。BRAHMANにしか描けない音と言葉の世界について、TOSHI-LOW(Vo)が熱い胸の内を語ってくれた。
取材:宮本英夫

「不倶戴天」、むちゃくちゃカッコ良い。70年代パンクの王道リフというか、ストレートに突き刺さる曲調に震えました。

ストレートなのかな? もはや球種が分からないというか(笑)。素直にやってるねと言われることもあれば、すごいヘンテコなことやってるねって言われることもあるから。とにかく気持ちが素直に出ればいいかなと思ってるんですけど。

歌詞は社会の古い権威とか、人の心が分からないただの正論とか、そういうものに徹底的に噛み付いていて。怒りの歌ですね。

いつものごとく、歌詞を読んでもらえれば。でも、まぁ、怒り方にも年輪があると思うし、ただ“FUCK!”って叫べばいいという歳でもないので。ただ、怒りというのは着火剤でしかないと思うんですよね。昔はもっと怒りをくれよ!って、それが燃料になると思っていて、自ら社会を敵だと思ったりとか、あいつらに負けないとか、そうやって作り出してやってたんですけど。燃やし続けられないんですよね、着火剤でしかないから。

あぁ、そうか。最初に火は付くけど。

ずっと着火剤を入れなきゃいけなくなるから、すごい燃費が悪いというか。もう芯のほうで燃えてるものがあるんだから、それはたぶん一生消えないであろうというものを確認してるんだから、着火剤としての怒りだけで良くて。じゃないと、自分自身を燃やし尽くしちゃうんですよ。怒りで。

すごく分かります。

人のことを言ったりすると傷付きません? 昔は気にならなかったけど、今は人に言うと自分も痛いし、どのツラ下げて俺が言えてんだ!ってなっちゃう。人に言った分、返ってきちゃうし。だから、怒りの向こう側に何があるのかといったら、ぶっ殺すとかじゃなくて、最後に認め合うこと、赦すということなんじゃないかと。

そう、最後の歌詞で《すなわち赦す ってことだ》と歌ってるし、そこがすごいと思いました。これが今のTOSHI-LOWさんなんだって。

昔はもっと投げっぱなしだったからね。でも、ここで違った方向に行くと、“みなさんに感謝”とか、そういうかたちになってくると思うんですよ。でも、俺ってそういうタイプじゃないじゃん?

まぁ、確かに(笑)。

みなさんのおかげですということは重々分かってるけど、俺がいきなりそんなのになったら、気ぃ狂ったと思うでしょ?(笑) 表現に自分らしさを求める究極としてBRAHMANをやってるわけだから、それが当たり前だと気付いたとしても、当たり前じゃつまらないから。さっきストレートだと言われたけど、ストレートって何だろう?と思ってしまうのはそういうことなんだけど。

あぁ、なるほど。

何て言えばいいのかな…ストレートに投げてるんだけど球が違うとか、そういうものだと思う。岩とか鉄球を投げてるとか、違う競技になってる。そんな3曲です(笑)。あとは聴いて判断してください。

カップリングの「ラストダンス」にも驚きましたよ。THA BLUE HERBのラッパーILL-BOSSTINOとがっちりタッグを組んだ、ファンクとブルースとヒップホップの見事な融合曲で。

2年ぐらい前からBOSSと一緒にやろうと言っていたんだけど。3年越しの話がやっと実りました。

この歌詞はそれこそ説明不要。原発事故の問題を真正面から取り上げてメッセージしている。

最初に一緒にやろうって盛り上がった時に、BOSSはリリックまで書いてきたんですよ。でも、あの時にやらなくて良かったと思う。世の中の状況は、良いも悪いも変わってるし、あの時にやってたらただの世の中に対してのカウンターで終わっちゃった気がするけど、今だからこそもっと深いところまで…ただ反原発がどうとかそういうことじゃなくて、その先にある自分というものを見据えるようになれたんじゃないかなと思う。

もう1曲の「怒涛の彼方」は?

変な曲でしょ?(笑) こういう曲が自分たちらしいと思うんだよね。RONZIがドラムをドコドコやってたから、ここからこうしたらいいじゃん!みたいな展開を付けていったんだけど。ただ単に一面的に強いもの、ハードなものだけが強さじゃないし、何か足をすくわれるようなものが俺はもともと好きで、だからそういう曲にしたかった。本当はドコドコから始まると、もっとハードな方向に行きそうなのが、いきなりメロディアスになる。笑っちゃうよねって言われるくらい。ほら、見かけがいかつい人がソフトクリームを食べたりしてるのって、面白いじゃないですか。そういうこと。

その例えはよく分からないけど(笑)。

もう立ってるだけで怖いおじさんなんだから大丈夫なんだよ。何も作らなくても(笑)。決め決めにする必要はないし、勘違いされたとしても、ふくよかなユーモアを持っていたい。作らなくてもそうなってるんだから、逆でいいんですよ。やさしくていいし、柔らかくていいし、言葉使いもそういうことでいい。俺たちはBRAHMANにしかなれないし、なってるんだから、それ以上にらしさを求めても意味がないでしょ。

ですね。

それは、20周年を超えて気付いたことなんですよね。俺らは20周年記念なんかやろうと思わなかったけど、周りにやれやれと言われてやって良かったなと思うのは、本当に区切りが付いたから。それまでのものなんかいらないし、過去のものだと思えたから。また一から始まってるんだって、今はそう思ってます。
「不倶戴天」2017年04月12日発売TOY’S FACTORY
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • TFCC-89614 1800円
    • 【通常盤】
    • TFCC-89615 1200円
    • 【アナログ7inch】
    • TFCK-38028 1080円
BRAHMAN プロフィール

ブラフマン:1995年、都内を中心にライヴ活動をスタート。96年に『grope our way』を発表(現在廃盤)。1stアルバム『A MAN OF THE WORLD』がインディーズ史上、異例の60万枚以上のロングセールスを記録。シングル「deep/arrival time」でメジャーデビューを果たす。徹底した激しいライヴスタイルとその存在感は他の追随を許さないバンドとして、熱狂的にオーディエンスやバンドから支持されている。21年Zepp ツアー『Tour 2021 -Slow Dance-』と連動したコンセプチュアルな作品「Slow Dance」を9月22日にリリースする。BRAHMAN オフィシャルHP

OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND プロフィール

オーヴァーグラウンド・アコースティック・アンダーグラウンド:BRAHMANのメンバーを含む、アコースティック・ユニット。フロリダ出身のスコットランド系アメリカ人のMARTIN(Vo&Gt&Violin)が、打ち上げでTOSHI-LOW(Vo)と対面し、MARTINの申し出をきっかけに結成されたこのバンド。2005年結成、同年9月に下北沢QUEで初ライヴを行う。05年11月リリースのVA『THE BASEMENT TRACKS‐10 YEARS SOUNDTRACK OF 7STARS‐』、06年5月リリースのVA『ROCK THE ULTRAMAN』等の参加を経て、06年7月にリリースされた1stアルバム『OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND』で全貌を現したその音世界は、アコースティックというカテゴリーを超越。ロックのみならず民族音楽の要素を基盤に持つBRAHMANの音楽性も上手く作用し、他に類を見ないオリジナリティー溢れるサウンドへと結実した。また、MARTINとTOSHI-LOWの2人による英語詞ヴォーカルも深い味わいを醸し出しており、ブリティッシュ系トラッド・フォークの匂いも漂っている。07年5月、ミニ・アルバム『all the way』を発表。09年11月、アルバム『New Acoustic Tale』をリリース。11年4月にはプロデュースに箭内道彦を迎えて、ミニ・アルバム『夢の跡』をリリース。14年9月、約5年ぶりとなるアルバム『FOLLOW THE DREAM』を発表した。BRAHMANでの活動共々、注目に値するグループであるのは間違いない。OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND オフィシャルHP

OKMusic編集部

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