【GACKT】世の中の評価を気にしてい
たら、GACKTなんてやってらんない

怪人二十面相役で出演中のアニメ『TRICKSTER−江戸川乱歩「少年探偵団」より−』のエンディングテーマ「罪の継承 ~ORIGINAL SIN~」を書き下ろし、シングルとしてリリースするGACKT。血にまみれたMVの残虐な描写も話題だが、そこには人の“生”にまつわる深遠なメッセージが隠されていた。
取材:清水素子

問題作で構わない。思うままを過激に出
したい

アルバム『LAST MOON』から約1年振りとなる新曲「罪の継承 ~ORIGINAL SIN~」は、TVアニメ『TRICKSTER−江戸川乱歩「少年探偵団」より−』のエンディングテーマですよね。やはり作品の内容であったりキャラクターからインスパイアされて書き下ろしたものなのでしょうか?

楽曲のもとになっているストーリーは、『MOON SAGA』という物語に登場する人物の心象を語っているんだ。そもそも今年予定しているワールドツアーを回るまでは、楽曲制作をする予定は正直なくて。だけど、どうせだったら日本の凱旋ツアーまでに少し楽曲を作って、ライヴでやる曲を変えてもいいんじゃないか?っていう話になったんだよ。

それにしてもシンフォニックでゴシックなサウンドといい、“人生から逃げるな”と歌う強烈なメッセージ性といい、猟奇的なMVといい、あまりにもセンセーショナルで!

バンド時代はずっとゴシックなものをやっていたし、そもそもボクはエッジの利いた楽曲やメッセージ性っていうものが好きだから。ただ、今まではメディアだとか、いろんな部分で規制感っていうものを頭に入れて作っていたんだけど、そういうのって必要なのかなぁ?って思い始めて。レコード会社でやっていた時には、あんまりエッジの利いた歌詞だったりMVっていうのは世に流せなかったり、修正が入ったりしていたけれど、ネットがここまで普及してる中で、そんなのどうでもいい話。ましてや自主レーベルを立ち上げて、自分たちで全部やってる以上、そんな規制を気にする必要もない。これからは曲にしろ、映像にしろ、自分の思うままどんどん過激に…それが新しい作風という意味ではなく、本来のスタンスであり、アイデンティティーなんだという出し方をしたほうが、自分らしくやっていけるんじゃないかと思ったんだ。だから、受け入れられるかどうか?っていうのは正直考えていない。ボクもあと何年音楽活動するか分からないから、それがやれるうちは“問題作”になったとしてもいいのかなぁ…って。

なるほど。アニメのエンディングテーマというと、一般的に穏やかだったりハッピーなイメージがあるので余計に衝撃的でした。

どっちかって言うと、だいぶエッジの利いた“エンディング”になってるよ(笑)。アニメの中でボクが演じている怪人二十面相っていうキャラクターが、ずいぶん壊れたキャラクターなんで、そこの部分がシンクロできるような楽曲にしようっていうのは決めていたんだ。アニメの制作チームからは、確かに“ハッピーで未来を感じるような曲を作ってもらえませんか?”っていうオーダーがあったけど、ボク、商業作家じゃないから。頼まれたままに作るような器用なやり方はできないし、その時に思い付いたものしか描けない。だから、とりあえず作ったものを聴いてもらって、それが気に入ってもらえなかったら、縁がなかったでいいんじゃない?ってぐらいの感覚で監督に聴かせたら、“かなりカッコ良くてびっくりしました!”って言ってくれたんで、良かったなぁって。“ごめんね、思った通りのものを作ってあげられなくて”とも言ったんだけどさ(笑)。

(笑)。いえいえ、本当にカッコ良いですよ。先程“問題作”という言葉が出ましたが、その筆頭とも言えるのが美少年と美少女が登場し、次々に人が殺されていくMVの描写で、ここで表しているものは歌詞と同一ととらえていいのでしょうか?

そうだね。時代っていう意味では違うんだけれども、結局“罪の継承”っていうのは過去から未来に向かって起きることだと思っているから、最初にボクが書いたプロットでは実現が難しいとなった時に、現代の描写に変えたんだ。もちろん“これだと放送に流せないんですが、大丈夫ですか?”って言われたけど、“いいよ、そこは気にしてないから”…って。R指定だなんだと言われたって、どうせネットでは拡散するから。そこで監督にずっと言っていたのが“ドラマを観せたいんじゃない”っていう話で、そこに出てくる子たちの叫びというか狂気を描写したいから、エッジの利いた撮り方だけを考えてくれればいいし、説明的なものも一切いらない。観た人たちが勝手に“これはこういう話なんじゃないのか?”って考えてくれれば、それで構わないから…って。

確かに猟奇的なシーンを並べただけかと思わせて、ひとつの物語につながるヒントは、随所に仕込まれていたように感じました。むしろ、残虐な分だけ、人の罪をテーマにした歌詞のメッセージが刺さる。

そう言ってもらえるといいんだけどね。実際、編集であがってきたものを、海外の自分の家で、向こうの仲間に観せた時に全員が言ったのが“問題作ですね”って(笑)。ただ“これは現代社会の抱えている問題に訴えるものだから、これはこれでありだと思います”とも言ってくれたんだ。

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着