写真左上より時計回り、YUKKE(Ba)、逹瑯(Vo)、ミヤ(Gu)、SATOち(Dr)

写真左上より時計回り、YUKKE(Ba)、逹瑯(Vo)、ミヤ(Gu)、SATOち(Dr)

【MUCC】歌のないギターメロディーの
部分を、逹瑯には一番歌ってほしかっ

結成20周年に向けた、助走となる全国ツアーを目前に控えたMUCCがリリースしたニューシングル「ハイデ」。シンプルながら胸に響き感情を揺さぶるタイトル曲を含め、最新型のMUCCが詰まった今作について、全ての作曲を務めるミヤ(Gu)に話を訊いた。
取材:フジジュン

「ハイデ」のMVは茨城にあるミヤさんのおじいさんの家の敷地内で撮ったそうですね。

そう。もともと自分の生まれ育った田舎をイメージして作った曲だったから、MVは茨城で撮れないか?ってプレゼンして。一面田んぼの風景が画的にもいいってことで、じいちゃんの家で撮ることになったんです。

“ハイデ”は“荒野”の意味と“孤独”の花言葉を持つ、ツツジ科の花をドイツ語で表した言葉だそうですが。作曲の段階から、壮大な原風景のイメージもあったのですか?

メロディーを作ってる時にイメージしたのが田舎の風景だっただけで、俺がイメージしていたものと逹瑯の歌詞はあまり関係ないんです。でも、出来上がった曲や歌詞から世界観を汲み取った時、茨城で完結できたら美しいなと思ったんです。歌詞は俺が書いてもいいけど、どうなるかイメージできちゃうんで、逹瑯が書いたほうが視点も変わって面白いだろうなって。

逹瑯さんの歌詞を見ていかがでした?

俺からは出てこないものが出てきましたね。解決しないモヤモヤ感みたいなものを歌ってるんですが、俺も歌詞で説明するような曲にはしたくなくて。音から想像してほしいというのがあったんですが、そこも汲み取ってくれていました。

はい。ワンフレーズで引っ張りながら、感情の揺れ動きがしっかり表現されているサウンドにワクワクしました。

この曲はすごくシンプルで、コード進行もメロディーもほぼ一個しかないけど、聴く人によっていろんな意見が出そうな曲になりましたね。俺的には田舎の夕方の風景のイメージだったんですけど、異国感があるって言う人もいるし、Mogwaiみたいなミニマルっぽいイメージだって言う人もいるし。

シンプルだからこそ、想像する隙があるんでしょうね。

メロディーひとつで現在の自分たちをいろいろ想像させたかったので、あまり考えすぎない状態で作ったんです。そこで最初は“普通だな”くらいの感触だったけど、Kenさん(L'Arc~en~Ciel)のプロデュース力とか歌詞とか、いろんな力が働いて今までなかった印象の曲になりましたね。

逹瑯さんの澄んだ歌声も今までにない感触でした。

逹瑯には激しいでも悲しいでもない中間の感情で歌ってほしかったんですよ。分かりづらいかもしれないですけど、歌がないギターメロディーの部分を一番歌ってほしかったんです。

なるほど。イントロのギターから歌が入るところはゾクッとしたし、“これがMUCCの新曲!?”と驚きました。

タイトルから想像できないですよね。タイトルは最初、全然決まらなくて。“孤独”を表わす言葉というところから、“ハイデ”ってタイトルが出てきたんですけど、この花は日本名だと“エリカ”って名前で、それだと女性の名前みたいで意味を持っちゃうと思ったので、ドイツ名にしたんです。あと、歌詞にはないコーラスパートで“ハイデ”と歌ってるんですけど、そこがすごくはまったというのもありましたね。

シンプルに削ぎ落とされたバンドサウンドだから、メロディーやコーラスもより映えますね。

削ぎ落とされたというのは正解で、本当はごちゃごちゃしようと思ってたけど、プロデューサーのKenさんに止められたんです。“シンプルでも勝負できるでしょ、MUCCは”と言われて、曲をよりシンプルな方向に持っていってくれました。

Kenさんが曲の魅力やMUCCの魅力をしっかり理解してくれていたからこそ、こういうかたちになったのでしょうね。

“今、MUCCがやるべきことはこれじゃないの? この曲だったら、どこに行っても勝負できるでしょう”と強いイメージと気持ちを持ってプロデュースしてくれて、自分たち的には今までにありそうな曲ってイメージだった曲が、Kenさんに導かれて良い結果になったと思います。

今回、「ハイデ」に限らず、4曲ともMUCCにありそうでなかったイメージで。今まで積み重ねてきたものを再構築して、推し進めた印象でした。

「KILLEЯ」は真面目に作ったというよりは、俺がMUCCの結成当時に聴いていた音楽を詰め込んだ遊びの部分も多い曲で、そこもMUCCらしいし。「JOKER」みたいな歌謡曲感もMUCCだし、「悲しみとDANCEを」みたいな曲もMUCCだし。昔からやってるコンセプトとして変わらないことは、キツいと思うことをパワーに変えて歌にするということなんですけど、最近は悲しみや苦しみを明るい曲調に乗せたり、ユーモアを乗せたりという気持ちの余裕が出てきましたね。「悲しみとDANCEを」の歌詞もそうだけど、そんな部分も出てるんじゃないかな。

これ一枚で現在のMUCCが見えるし、熱心なMUCCファンも両手をあげて喜ぶシングルになったと思います。

来年20周年なので、ここから20周年が始まって、みんなで共有できるようなシングルになればいいなという気持ちはありました。あとは“MUCCって何ぞや?”というのが、ここ何年かテーマになっていて。明るいMUCC、暗いMUCC、激しいMUCC…といろいろな表情がある中で、それをひっくるめて“結局、MUCCって何なの?”となった時、ジャケットの蜂だったんです。凶暴で狂気的で刺されたら死んじゃうような面もあれば、どこか可愛らしいふざけた面もある。そういう両面性を持った生き物って、蜂くらいしかいないなと思ったんです。

そして、6月25日からは『GO TO 20TH ANNIVERSARY』ツアーがスタートするわけですが、いよいよ20周年に向けて動き出しますね。

来年は新しいアルバムも出しながら、20周年のいろんな企画もやっていきたいと思ってます。次のツアーはそれに向けての練習ですね。過去のアルバムを再現するようなライヴもやりたいと思ってるんですけど、ウチはとにかく曲数が多いので、懐かしい曲も思い出しながらやって、どこで何が出るか分からないツアーになると思うので、期待してください。
「ハイデ」2016年06月15日発売Sony Music Associated Records
    • 【初回生産限定盤(DVD付)】
    • AICL-3122~3 2500円
    • 【通常盤】
    • AICL-3124 1500円
MUCC プロフィール

ムック:1997 年結成。日本人の心のメロディーを大事にしつつ、ロック、メタル、パンク、ダンス、ラップ、ミクスチャー…ありとあらゆるジャンルの音楽を飲み込み、常に新たなサウンドを追求し続け、“MUCC”というひとつの生命体のように、誰にも似つかない音を鳴らし続けている。国内外問わず結成以来、精力的に数多くの箇所、本数のライヴを行なっており、海外でもヨーロッパ・アメリカ・中国・ロシア・南米の計13 か国で公演を約150 本を実施。国内においても日本武道館、幕張メッセ、国立代々木競技場第一体育館などで単独ライヴを開催。また、国内外の大規模フェスにも出演し、大きな反響を得てきた。08 年には北米(34カ所)、ヨーロッパ(18カ所)を回る大型フェスツアー、『ROCKSTAR Taste of Chaos』TOUR にAvenged Sevenfold、ATREYU、Bullet for My Valentine、Story of the Year、As I Lay Dying などとともに参加。日本公演では堂々のヘッドライナーを務めた。世界を股にかけるタフなライヴバンドとして定評もあり、そのパフォーマンスへの評価は高い。MUCC オフィシャルHP

OKMusic編集部

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