【連載コラム】稚菜、THE TIMERSの「
デイドリームビリーバー」をカバー

とある夜。
月を眺めながら、ただただぼーっと過ごしていた。

アパートのそれぞれの部屋から聴こえてくる
家庭的な音と鈴虫の鳴き声があまりにもミスマッチで。
そこにまた更に加わる私のぐるぐるしたまとまらない考え。
全部が全部似合わなさ過ぎて、それがまた何だか不思議と安心感を与えてくれる。
心に落ち着きをくれる。

今はただ、ずっとぐっと堪える。
そんな時期なんだろうなぁ。
それも大切。
答えがないものなんてなくて、
頭の中のぐるぐるした想いにもきっといつか答えが出るのだろう。
だからね、時間の流れに身を任せてただひたすら漂ってみる。
人生の中に何度かそんな時間があったっていいと思うんだ。
悪くない。
それもある種、一つの答えなんだろうなって。
何かと理由をつけて無理に捻り出そうとしなくたっていいんだ。
これも私だ。
良い自分も悪い自分も全部ひっくるめて。
"自分で自分を一番可愛がって愛してあげる"
そんな瞬間も作ってあげないと。
そんな事を思ったら、そんな事を思えたら、長い長い吐息が出た。

「ため息をつくと不幸になるよ」
そんな言葉を聞いてきたけれど、私の中では少し違う。
自分の中に溜まった悪い流れや考えや不幸を、外へ外へゆっくり長く吐き出しているんだと。
幸せが入れる容量を増やしているのです。
ぼーっとするのは、逃げるんじゃなくて一度立ち止まる時間。
何も考えなくなれば、時間が経てば、
今度は自ずと自分に問いかけるべき事や目を向けるべき事が明確に見えてくる。
人やものや考えに対する、忘れていたありがたみにふと気付ける事もある。
自分自身とゆっくり向き合う時間。
その為の、つかの間の休息。
考え過ぎちゃうと疲れちゃうよね。
そんな時はね、少しゆっくりすれば人ってまた頑張れるんだ。
そうやって出来てるんだよ。
世の中色んな人がいるけれど、そこは一緒なんだろうなと思う。
だからね、弱い自分も沢山沢山知ってあげよう。愛してあげよう。
いっぱいいっぱいになって自分を見失ってしまう前に。
不恰好で人間らしい、自分を愛せる様なそんな人間に私もなりたいな。
スーパームーンが出ていた月夜にそんな事を思ったのでした。
さて今日の一曲は。
月夜にぼーっとしながら一人聴いていた曲。
THE TIMERSの「デイドリームビリーバー」
The Monkeesの曲を清志郎さんが日本語詞でカバーをした曲です。
一見ラブソングに聴こえるこの歌の"彼女"という言葉が、
実は母親に宛てている、
と知った時には表現力の深さと真っすぐさに自然と涙が溢れていました。
本当にかっこいい人だなって思います。
忌野清志郎さんへ、敬愛を込めて。
それでは。

著者:稚菜

OKMusic編集部

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