定員10名!極狭だけど人気の焼き鳥屋
で聴きたい音楽

ミュージックソムリエ協会では、「こんな時に聴きたい音楽!」ということで、日常のヒトコマで、ふっと聴きたい音楽を選曲しました。選曲はすべて、ミュージックソムリエ(http://musicsommelier.jp)によるもの。
隣の人との間隔は、15㎝未満。煙に燻されながら、ハイボール片手に焼き鳥を頬張る!オフィス街の裏路地を進むと出くわす、極狭人気店で聴きたい曲を集めました。

1.「I’m In My Wine」/Amos Milburn

狭い焼き鳥屋さん。
そこはディープで、店主のカルチャーを大きく受けて育った、独特の空間。イメージが一貫しているところに、お洒落なイメージがあり、時として一見さんにはなかなか入りにくかったりもします。
今時の焼き鳥は、ワイングラス片手につまんだりするお客さんもいますね。そんな狭くて、店主のセンス満載の居酒屋で焼き鳥をつまむなら、こんな曲を流して欲しいですね。
音楽に身を委ねると、彼の声に飲兵衛ならどこかで聞き覚えがあるはず!
そう、某居酒屋特集の人気テレビ番組でも、彼の歌声はおなじみのはず。
焼き鳥にワイン、そしてAmos Milburnは、もはや定番化しそうですね!
(選曲・文/宮川桃子)

2.「Theme From A Symphony (Variatio
n One)」/Ornette Coleman

人気の焼き鳥屋、夕方行ってもきっと空いてないんですね、何軒かまわって終電間際、ふと暖簾を分けると奇跡的に席が空いてる!そんな頃にはもうへべれけでしょう。
そんな泥酔状態なお勧め曲は、先日お亡くなりになったフリージャズの大家Ornette Coleman氏のこんな曲。
フリージャズと聞くと、ガラスをひっかく音とノイズがやたらと長い時間続くだけ、なんて想像される方もいらっしゃるでしょうが、これはまた別のパターンです。印象的なメロディーが繰り返された後ソロに移ってと繰り返されるんですが、調子っぱずれでめっためた。調性もほとんど無視されています。それでもこの呪術的な繰り返しと破綻しそうでしない危うさ、ファンキーなグルーヴがクセになるはず。
これが面白いかは人それぞれですが、一生かかっても聴ききれない音楽のライブラリーから、お気に入りの1曲を見つける手助けになればと思います。フリージャスだからって食わず嫌いせず是非ご一聴を。
(選曲・文/田中孝典)

3.「パパゲーノ(鳥刺し)とパパゲーナ
のデュエット 〜オペラ「魔笛」より〜
」/モーツァルト

幼少より神童と賞賛されたモーツァルトは、900以上の作品を世に残し、35歳にして生涯最後の作品となったのがオペラ「魔笛」です。
この作品に登場するパパゲーノは、「鳥刺し」という職業の設定ですが、作曲された18世紀当時は、冷蔵庫などない時代ですから、新鮮な鶏肉を得るには、生きた鳥を市場で買ってくることになります。そのため、生きたまま、鳥を捕獲する「鳥刺し」が職業として存在してありました。
ストーリーを全て紹介することはここではできませんが、パパゲーノが、魔法の鈴を使って、見事、女房にしたいな〜としていた、パパゲーナを見事にゲットするハッピーエンドな陽気で軽快なデュエットです。
もし、この当時、カラオケボックスがあったとしたら、男女のデュエット部門で流行った一曲となったことでしょう。
一見(?)、似つかわしくないこの曲が、もし、「焼き鳥屋」で流れていたら、思考と洒落を駆使した(串した?)お店になりませんでしょうか♪ メニュー(お品書き)に、「パパゲーノ串」とかあったりするのかと思うと、なんだか楽しくなりそうですネ!
(選曲・文/堀川将史)

4.「Looking For Clues」/Robert Pal
mer

人気の焼き鳥屋。やっぱり入る時にはへべれけなんでしょうね。
そこで流れてきたらうれしいのは…… 
渋い正統派ブルーアイドソウルのあんちゃんだったRobert Palmerが、時代のテクノロジーを自分の音楽に取り入れ始めた頃(当時のファンは”おや?”となった事だろう)の名曲。シュールなPVと同じく歌詞、テクノ~エレポップを咀嚼した不思議な手触りと陶酔感、どこかに迷い込んだような不思議な感覚が得れます。
Robert Palmerはこの後さらに時代とクロスして行きPower Stationで一世を風靡し、Addicted To Loveで80年代に足跡を刻みます。この曲はその前哨戦ですね。
映像の音質が悪いですが、ここは是非このPVヴァージョンでお楽しみください。
(選曲・文/田中 孝典)

5.「Out of Control」/MAN WITH A MIS
SION × Zebrahead

美味しい焼き鳥にお酒が進んで、気づけばベロベロ・・・。もう理性がぶっ飛んで、まさにOut of Control な状態になった方には、骨太な曲がオススメです。ガウガウと肉食っぷりを発揮して音楽活動の場を世界に広げているMan With A Mission ですが、この曲はアメリカの人気バンドZebraheadとタッグを組んだものです。
焼き鳥も狼のようにかぶりつき、アルコールもどんどん体に入れ込んで、貪欲に楽しんでしまいましょう。翌日のことなんて、気にしないで本能の赴くままに、食べて飲んでしまえば良いのです。
(選曲・文/石井由紀子)

6.「Soldier Of Fortune」/WHITESNAK
E

"「俺に特別な才能なんてない。俺より秀でた人間も、俺より努力していた人間も沢山いた。
俺が今の仕事で生き残ってこれたのは、ただ運が良かっただけさ…。」
百戦錬磨の上司の口から、意外な呟きがこぼれた。
普段は話しかけるだけでも緊張する上司。自分にも部下にも厳しく、その辣腕振りから社内外にその名を馳せている。
このところ続いた激務の労いだろうか、その辣腕上司から珍しくサシでの酒の席に誘われた。場所は、繁華街から少し離れた裏通りの、狭く年季の入った焼き鳥屋。お客さんは多いようだが、華やかな舞台で大きなプロジェクトをいくつも成功させてきた上司には、いささか不釣り合いな場所に思われた。
この焼き鳥屋でやっと、この人は一人の人間に戻れるのだ。
僕はそう気付き始めていた…。"
今回ご紹介するのは、ハードロック界の大御所WHITESNAKE(ホワイトスネイク)の新作『The Purple Album(ザ・パープル・アルバム)』から、「Soldier Of Fortune(幸運な兵士)」。
同アルバムは、中心人物デヴィッド・カヴァデールがかつて在籍したハードロックの代名詞、DEEP PURPLE(ディープ・パープル)の曲をリメイクしたアルバムです。
もちろん彼が20代の頃にレコーディングしたオリジナルの「Soldier Of Fortune」の素晴らしさは疑いようもありませんが、一人生き残った兵士の哀愁を歌ったこの名バラードは、60代となったデヴィッドに歌われることで、よりその重みと味わいを増したように感じられます。
ハードロックと焼き鳥屋さん。相性は意外に悪くないと思いませんか?
(選曲・文/伊藤威明)

著者:ミュージックソムリエ協会

OKMusic編集部

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