事実は小説より奇なり…衝撃の音楽ド
キュメンタリー三選

時に史実は、小説や映画よりもドラマティックなストーリーをつむぎ出す…。

特にバンドというものは、友情や家族愛とはまた違った関係性が形成されている共同体であるといえる。その中で展開される確執や、奇跡とも呼べるような最高のライブアクトは、演奏するバンドが生身の“人間”だからこそ、より見る側、聴く側に深い感動を与えるのだ。
ここでは、ライブの模様からバックステージでの言動まで、人気バンドが織り成す人間味あふれる素顔を映す音楽ドキュメンタリーを3本ピックアップする。

「アンヴィル! ~夢を諦めきれない男たち~」は、カナダのへヴィメタルバンド、アンヴィルの活動の軌跡を追ったドキュメンタリー。80年代初頭に音楽シーンに多大なる影響を与えたアンヴィル。不遇の時代を経験しながらも、再び注目を集めるまでを丹念に追い続ける。
彼らは頂点だった時代、日本のスタジアムコンサートに招待され、大観衆を前に演奏し熱狂させた。しかし、その後はバイト生活をしながら、地元ライブハウスで少数を前にしての演奏しかできない。やがて、四半世紀ぶりに再び日本から声がかかり…。渋谷の雑踏の中で感慨深い表情を見せるメンバーの姿が印象に残る。


イギリスの伝説的ロックバンド、ザ・フーの輝かしい活動の軌跡を捉えたのが「ザ・フー:アメイジング・ジャーニー」だ。

ロジャー・ダルトリー、ジョン・エントウィッスル、ピート・タウンゼント、キース・ムーンという4人からなるザ・フー。彼らオリジナルメンバーでの最後のライブの模様や、その舞台裏での確執、さらにスキャンダラスだったキースの急死などを、初公開となるファン垂涎の貴重な映像の数々で見せていく。中でも、以降のロック・ドラムのスタイルを変えたとも称される、全盛期のキースの激しいドラミングは必見だ。


90年代、オアシスとともに“ブリットポップ”と呼ばれるジャンルを牽引したイギリスのロックバンド、ブラーを追ったのが「ブラー/ノー・ディスタンス・レフト・トゥ・ラン」。
オリジナルメンバーの脱退から、彼が舞い戻ってからの2009年の再活動開始の様子、人気絶頂当時のメンバーの自殺願望、それでもバンドを続けていく確かな絆…今だからこそ明かされる裏話も満載で、一時代を築いたスーパーバンドの友情譚としても見ごたえありだ。


へヴィメタル、オールド・ロック、90’sUKロックとジャンルは違えど、共通しているのはやはりバンドというのは人間同士のつながりの中でこそ生まれるということ。

普段は聴かないジャンルのバンドだと敬遠するなかれ!演出のない“良質な人間ドラマ”としても見ごたえ十分だ。

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    OKMusic編集部

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