『アナと雪の女王』のジャケット画像

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    NHK紅白歌合戦出場歌手・曲目から見る 2014年の音楽シーン

    ♪レリゴー♪と♪ゲラゲラポー♪

     その年の国内音楽シーンを振り返るうえで、やはりNHK紅白歌合戦は一線級の指針である。一時に比べて視聴率が低迷していると言われて久しいが、それでも毎年40%パーセント前後を稼ぎ出しているわけで、今もなお “国民的歌番組”なのであることは間違いない。今年に関して言えば、2014年ヒット商品のワンツーである『アナと雪の女王』『妖怪ウォッチ』をしっかりとフィーチャーしている。前者がディズニー映画で、後者はニンテンドー3DS専用ゲームソフト。この辺りは“歌は世につれ世は歌につれ”を地で行く紅白歌合戦の面目躍如と言えよう。『アナ雪』はMay J.の「Let It Go~ありのままで~」、神田沙也加の「生まれてはじめて」に加えて、本家イディナ・メンゼルも登場。『妖怪ウォッチ』は、主題歌のキング・クリームソーダの「ゲラゲラポーのうた」と、エンディングテーマのDream5の「ようかい体操第一」が共に披露される。『アナ雪』──とりわけ「Let It Go~ありのままで~」についてはもはや説明は不要だろう。アンデルセン童話『雪の女王』をミュージカル映画化する過程で、出来上がってきた「Let It Go」が素晴らしく前向きな楽曲だったため、主人公のエルサの性格設定はおろか、物語そのものを方向性までも変えてしまったという珠玉のナンバー。『アナ雪』のヒットはとりもなおさず「Let It Go」のヒットであったと言っても過言ではない。一方の『妖怪ウォッチ』。子供たちの間で絶大な人気を誇っているので、20代前後の人たちはあまり興味のないコンテンツかもしれないが、「ゲラゲラポーのうた」の♪ゲラゲラポー♪、「ようかい体操第一」の♪ヨーでる ヨーでる ヨーでる ヨーでる♪はどこかで耳にしているはず。いずれもキャッチーで耳馴染みがよく、ヒット曲の必要条件を整えた楽曲である。

    ライヴステージこそ音楽ビジネスの根源

     上記以外の紅白歌合戦出場アーティストの顔ぶれを見ると、相変わらずジャニーズ勢(Sexy ZoneV6関ジャニ∞TOKIOSMAP)とAKBグループ(HKT 48、SKE 48、NMB 48、AKB 48)の強さが印象的だ。いずれもTVタレントとしてその姿をモニターを通して観ない日がないほどのグループなので、それもさもありなん…といった見方をされる向きもあるだろうが、忘れてはならないのが彼等彼女等のライヴステージへの取り組み方である。2014年、SMAP、嵐はドームツアー、TOKIOは全国ツアーに加えて夏フェスへの参戦、関ジャニ∞はスタジアムツアー、Sexy Zoneもアリーナクラスの公演を行なっている。V6は2014年のコンサート活動こそなかったが、むしろこれは今年が異例でデビューから昨年まで毎年ライヴを欠かしたことがないグループである。“会いに行けるアイドル”がコンセプトでほぼ毎日公演を行なっているAKBグループの活動については説明するまでもないだろう。TVタレントであると同時に彼等彼女等はライヴステージを大切にしているアーティストなのである。ライヴアーティストを自称するミュージシャン、バンドは少なくないが、彼等彼女等はその辺のバンド以上にライヴを信条としている。“歌”合戦と名の付く番組に出場するのは当然だと理解できる。数年前から“音源よりもライヴステージこそが音楽ビジネスの根源”と言われていたが、何てことはない。所謂アイドルと言われるグループこそが率先してそれを実践していた証左である。これはEXILE TRIBE(EXILE、三代目J Soul Brothers、E-girls)や、ももいろクローバーZ、AAA辺りにも当てはまるし、国内に留まらず世界各国でライヴ活動を展開したという点ではPerfumeや、きゃりーぱみゅぱみゅもそこに加えてもいいかもしれない。

    低迷のシーンでひとり気を吐いた“セカオワ”

     一方、バンド、アーティスト系は…というと、長渕剛福山雅治ポルノグラフィティ椎名林檎中島みゆきといったベテラン組はともかく、若手が少ないのは若干寂しいところ。この辺は2014年の音楽シーンの特徴と言えるだろうか。そろそろ紅白常連組と言ってもよい絢香やいきものがかりの他、miwaゴールデンボンバーらが出場するが、そんな中で最も注目なのはSEKAI NO OWARIだろう。シングル「スノーマジックファンタジー」が初のチャート1位を獲得し、以後、「炎と森のカーニバル」「Dragon Night」とヒットを連発した。ライヴステージは、全国アリーナツアーに加えて、富士急ハイランドで開催した野外ライヴ『TOKYO FANTASY』を開催。各地のフェス・音楽イベントでヘッドライナーを務めるなど、話題の乏しかったこのシーンで“セカオワ”はひとり気を吐いた。当然の紅白初出場であると言える。これにより彼らの存在は上の世代にも広まるだろうし、それは喜ばしいことと言えるが、ロックフェスが夏の風物詩として定着しているものの、バンド、アーティスト系が幅広い世代を巻き込むまでにはいっていないことを表しているのだろうか。

    ヒット曲が生まれづらい時代、続く

     さて、最後に、総体として第65回NHK紅白歌合戦の出場者、曲目を見渡してみると──これは今年の限った傾向ではないが、年間を通して誰もが知っているヒット曲というのは生まれにくい時代になったのだなと思わざるを得ない。ポルノグラフィティの「アポロ」、TOKIOの「LOVE YOU ONLY」はそれぞれデビュー20周年ということでデビュー曲をチョイスするのはわ分からなくもないが、和田アキ子の「古い日記」、五木ひろしの「よこはま・たそがれ」というのは苦心の末の選曲だったと邪推できるし、ゴールデンボンバーの3年連続「女々しくて」に至っては、今もカラオケで人気のロングセラーとは言え、いくら何でも…という気がしなくもない(これもまた苦肉の策だったのだろう)。さらにはSMAP、福山雅治、嵐がメドレーでのパフォーマンスということのからもヒット曲が生まれづらい時代性を感じられまいか。まぁ、紅白歌合戦はランキング番組ではなく、どちらかと言えばアーティスト中心なのでこういう事態も起こり得るのだろうが、今年のテーマである「歌おう。おおみそかは全員参加で!」は──「Let It Go~ありのままで~」が劇場で歌われたとことから導き出されたテーマと思われるが、やや皮肉な恰好となってしまったことは否めない。
    TEXT:帆苅竜太郎

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