シャネル 2015年春夏コレクション -
「ピース&ラブ」、自由なスピリット
をもつ女性像

会場には、歩道と足場の両側に高さ25mのオスマン風の建造物が立ち並ぶ。カール・ラガーフェルドは今季、メゾンのタイムレスなスタイルはそのままに型にはまらず知性を持った女性像を描く。モデルたちは、バイカラーのオープンブローグやサンダル、フラットブーツなどを履いて気高く毅然と前を向き、ランウェイを前進した。

ワードローブは、男性と女性のドレスコードを歪曲して表現される。ダブルジャケットのカットに仕立てたメンズのツイードスーツ、裾を折り返したワイドパンツ、ショートスリーブのチュニックジャケットにサッチェルバッグなどをコーディネート。またランジェリー風に幅広いレースの襟をあしらった、ストライプのフランネル地のトップスを、バミューダショーツやラップスカートと合わせたスタイルも見られた。

マスキュリンなテイストのストライプは、ビニール地のジャケットやパンツにも採用。一方、軽量のツイードを用いたロングコートやリバーシブルなショートケープには、フローラルプリントのシルクのライニングで華やかなフェミニニティをさりげなくプラス。プリーツスカートやペイント加工のツイードスーツと合わせたブラウスにも、同様の花柄があしらわれ、満ち溢れる生命力を感じさせる。

パレットは黒と白、ネイビーといったシャネルのアイコニックな色に、オレンジ、ピンク、グリーン、ヴァイオレット、ブルーが溶け合う。ツイード、クレープ、レザーといった厚手素材は、シルク、リネン、コットン、オーガンザ、レースなどの軽やかなガーゼ状の布地と戯れ、質感のコントラストを生み出した。

コレクションは次第に移り変わり、より多層的にレイヤリングされたルックが登場する。スペンサージャケットのスリーピーススーツ、動きのあるスカートにスリムカットのパンツを合わせたスタイル、黒いレース地のべストドレスと繊細なブラウスの着こなし、ワイドパンツにペプラムのミニドレスを重ねたルックなどが展開。小花の刺繍が施されたドレスや粘板岩が敷き詰められたドレスなど、細やかなデザインを駆使したピースも豊富だ。

バミューダショーツにシアーなブラウスを合わせたルックは、ベルト、レザークラッチ、光沢のあるゴールドのタイツやシューズがアクセントに。小物使いで今までにない、強さのある女性らしさが装いに加わった。ラストは幾何学モチーフがあしらわれたドレスや、白黒のストライプ状にタイトにプリーツ加工をほどこしたミニビスチェドレスが行進を締めくくり、色彩豊かなフィナーレでショーの幕を閉じた。

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