変化の季節を迎えたドレスコーズ、そ
    のロックンロール魂と冒険精神とは?

    インターネットラジオ「FaRao」で配信中のアーティストを毎回一組、ピックアップ。
    ルーツを中心に、ジャンルや世代、国境を超えて広がる「音楽地図」を、音楽ライター 柴 那典が紹介する連載企画!

    今回の『FaRao Music Discovery』でフィーチャーするのは、9月24日に1st EP『Hippies E.P.』をリリースするドレスコーズ。2枚のアルバムを経てレーベル移籍を発表した彼らは、8月に初の日比谷野外大音楽堂ワンマンライヴ『ゴッドスピード・サマー・ヒッピーズ』を終えたばかり。そして、バンドが軌道に乗ってきた今、賛否両論を覚悟し、新たな音楽的挑戦を試みようとしている。バンドの縦横に広がるルーツとつながりを解き明かすこの連載で、そんな彼らの“今”を解き明かしたい。
    ドレスコーズは、志磨遼平(Vo)、丸山康太(Gu)、菅大智(Dr)、山中治雄(Ba)による4人組ロックバンド。2011年末、毛皮のマリーズの解散から間もない2012年1月1日に山中を除く3名で同名義での初ライヴを実施。同年2月に山中が加入し、現在の編成となっている。
    というわけで、バンドの中心はやはり志磨遼平。多彩な音楽的ルーツを持つ彼だが、その核にあるものはハッキリしている。さまざまなインタビューでも必ず語っている彼の“音楽の原体験”はビートルズ。それも、幼い頃から繰り返し聴いていた編集盤の『ビートルズ バラード・ベスト20』だという。
    また、書籍『ロックンロールが降ってきた日2』のインタビューで明かしているのは、同じく物心が付くか付かないかの頃にビートルズと浅川マキの『浅川マキの世界』が家で流れていたということ。毛皮のマリーズのバンド名の由来にもなるなど寺山修司も大きな影響源のひとつになっている彼だが、その源流は浅川マキにあったようだ。
    その後14歳の時に『TRUE MIND TOUR '95〜'96 FOR SEASON』というライヴビデオでザ・イエロー・モンキーに出会ったことが、彼のロックンロール人生における天啓となる。
    「始まって何秒とかですね。三、四秒くらいで、僕の未来が『メキメキメキ』って開くのがわかったんすよ。『あ、僕はこれになりたい!』って思って。『僕はこれになりたい!』『ロックスターになりたい!』って、そのときに自分で口にしましたね。うん。やっと自分で自覚したんですよ」(『ロックンロールが降ってきた日2』より)
    そして、志磨少年は、そこからひたすらロックの名盤を聴き漁る青春時代を過ごすことになる。レッド・ツェッペリンやディープ・パープル。ローリング・ストーンズ。セックス・ピストルズやクラッシュなどのパンクロック。デヴィッド・ボウイやT.REXなどのグラムロック。ブッカー・T.&ジ・MG’sなどのブルースや黒人音楽。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドやストゥージズなどのニューヨーク・パンク。一時期の彼の憧れだったというジョニー・サンダース。RCサクセションやザ・ブルーハーツやザ・ハイロウズ。古今東西、さまざまなロックの名作を浴びるように吸収したことが、彼の音楽の根っこにある栄養分になっている。
    そんな彼が、毛皮のマリーズのブレイクと解散を経て、ひとりひとりメンバーに声をかけ、“理想のロックンロールバンド”として結成したのが、このドレスコーズだ。それゆえ、音楽性の中心に据えたのも、やはりロックンロール。バンドの初期衝動を詰め込んだ1stアルバム『the dresscodes』に、《これがロックンロール、わかんないヤツは 全員くたばれ!》と歌うシングル曲「トートロジー」、さらにど真ん中を目指した2ndアルバム『バンド・デシネ』をリリースしてきた。
    が、先日の野音ライヴと『Hippies E.P.』で見せたのは、その“ロックンロール殉教者”路線から転じた新機軸のサウンドだった。コンセプトは“ダンスミュージックの解放”。アレンジャーに迎えたのは三浦康嗣(□□□)に、スピッツやピチカート・ファイヴやオリジナル・ラブから最近ではももいろクローバーZの編曲も手掛ける長谷川智樹、電気グルーヴや石野卓球の作品を手掛けてきた渡部高士を迎えている。
    特に□□□の三浦康嗣は新作の曲のほぼ全てに関わり、「メロディ」ではラップを披露するなど、その方向性に深く関与している。志磨遼平もブログで□□□のアルバム『CD』を「同時期にぼくが作った『ティン・パン・アレイ』というアルバムの兄弟作だと思っている」と綴り、彼への強いシンパシーを表現している。
    新作のタイトルトラックでもある「ヒッピーズ」は、エレクトリック・ピアノに豪華なストリングスやホーン・セクションも加えた、メロウでソウルフルなナンバー。オリジナル・ラブなど90年代の渋谷系のテイストにも通じる、切なくもポップな一曲に仕上がっている。前出の毛皮のマリーズの『ティン・パン・アレイ』リリース時のインタビューでも、アル・グリーンなどのフリーソウル、バート・バカラックなどポップの巨匠、そして小沢健二や渋谷系の影響を語っていた。
    ビートルズへの忠誠を誓い、スタンダードなロックンロールに軸足を起きつつも、ひとつの場所には収まらず意欲的な音楽の冒険を見せる志磨遼平。変化の季節を迎える今、そしてドレスコーズの“次”も楽しみでならない。

    著者:柴 那典

    OKMusic編集部

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