舞台『パラサイト』出演~キャリア3
1年の山口森広がバイプレイヤー人生
を振り返り思う「役者をしていると毎
日が楽しい」

2023年6月5日(月)~7月2日(日)東京・THEATER MILANO-Za、7月7日(金)~17日(月・祝)大阪・新歌舞伎座にて上演される、THEATER MILANO-Zaオープニングシリーズ/COCOON PRODUCTION 2023『パラサイト』。
世界各国で大ヒットした映画『パラサイト 半地下の家族』の舞台化となる本作。台本・演出は鄭 義信、そして、古田新太、宮沢氷魚、伊藤沙莉、江口のりこ、キムラ緑子、みのすけ、山内圭哉、恒松祐里、真木よう子という豪華出演者も話題だ。そんな本作に、舞台・映画・ドラマ・配信作と数々の作品にバイプレイヤーとして出演する山口森広も参加する。
この度、キャリア31年となる山口森広に、舞台をはじめ俳優としての思いを聞いた。
ーー数々の映画賞を席巻したあの『パラサイト 半地下の家族』が舞台化すると聞いていかがでしたか?
数々の賞に輝いた皆が知っている作品を、日本で舞台化することに、まずびっくりしました。と同時に、面白そう、わくわくするなぁというのが最初の感想でしたね。
この作品は家が主題ですし、舞台と言えばワンシチュエーションというイメージなので、そういう意味で舞台化も楽しみだなと思いました。それに加えて演出が鄭さんだから、関西を設定にしてやる意味があると思うし、関西弁で『パラサイト』をやるのは絶対面白いだろうなぁ。人間の内から湧いてくるエネルギーみたいなものとか、舞台ならではの表現も鄭さんの演出でより際立ちそうな気がします。
鄭さんとは今回初めてご一緒しますが、実はいろんな人から、「きっと合うと思うよ」と言われたので楽しみにしています。自分が所属する劇団ONEOR8の作・演出である田村孝裕さんと、人間の描き方やセンスなど、重なるところがある気がするんですよね。あと演出が細かいというのもの好きです(笑)。ようやく鄭さんワールドに参加できるのが嬉しいです。
山口森広(写真は本人提供)
ーー舞台やドラマ、映画などいろんな作品を経験していると思いますが、現場に入るときに心がけていることはありますか?
僕の場合、映像の現場では、みんなの空気が出来上がってるところに、ポイントで数シーンだけで入っていくことが多いですからね(笑)。
全体がどんな作品、どんな色なのかわからないから、あらかじめ何パターンか用意してのぞむけれど、結局は柔軟性が大事だと思います。現場の雰囲気に合わせて変化できたらと思います。
この前、死体を見つける役を演じる機会がありまして。台本を読むとシリアス、コメディ両方の可能性があるなと思って、どちらかなぁと思いながら現場に行ったんです。その時はシリアスを求められたので、そっち方向で頑張りました(笑)。
一昨年初めて監督を経験して、演出側のことも考えるようになりました。カメラワークについて「ここ使われるな、ここ大事だな」と思ってやったりして。でも放送を見るとそこが全然使われてなかったりして、すぐ初心に戻らされます(笑)。
一個一個の作品が新鮮だから、それぞれの作品や現場によって、心がけることも変化しますね。
こうやって振り返ってみると思うんですけど、基本全部100%楽しんでるんですよね。うまくいかなかったり、思ったことと違ったりして反省することもあるけど、やっぱり楽しいなぁと。
ーー複数の作品の撮影をまたぐ中で、苦労することは?
ないですね。むしろわくわくする。毎日芝居してたいから、毎日何かの作品に関わっていることが幸せです。台本は酸素ボンベみたいなもので、台本がカバンにあるから息ができると思っています。
山口森広(写真は本人提供)
ーードラマ『ブラッシュアップライフ』での制作部宇多川さんの活躍が印象的でしたが、ご自身が出演した作品の反響についてはどのように受け取っていますか?
昔は自分の作品は見なかったんですよ。見ない方がかっこいいというか。それこそ古田さんがテレビでそういうこと言っててカッコ良い! と思ってました。特に舞台は自分が演じたものを見ることはなかなか出来ませんしね。
でも最近はそうも言ってらんないというか、役者としての成長のために変わっていかなきゃいけないと思うようになりました。だから出演作品もたくさん見てます。プライドとかこうしたいという願望よりも、反省しながら成長につなげていきたい。時にはエゴサ―チもするし。
野球は一点をとったら一点、エラーしたらエラーとルールがわかりやすいですが、芝居ってホームランもエラーも人それぞれ。役者論には答えがないですよね。
だから反響があるのはとても嬉しいし、それを糧に頑張れます!
ーー作品を通していろんな役を演じられていますが、プライベートに影響したことはありますか?
自分が所属している劇団の「誕生の日」という公演で、女性の役を演じたことがありました。僕はこの見た目のままなんだけど性別は女性で。あんまり女性っぽく演じるのはやめようと思って、その人の人生を演じていたんだけど、知らず知らずのうちにだんだん女性っぽくなってきたみたい。仕草とか。
公演が終わった2か月後に、家族に「ようやくパパに戻ったね」って言われたんですよね。なんとなく物腰が柔らかめだったみたいです。それまでは、役が抜けないとか自分にはないと思ってましたけど、私生活に少なからず影響してる部分はあるのかなと思いました。
フランスの戯曲のリーディング公演を経験したときも、言いたいこと言うフランス人のセリフを、そのままの勢いで妻にも言っちゃったら喧嘩になったことがあって。『それを言っちゃおしまい』という作品でした(笑)。
山口森広(写真は本人提供)
ーー俳優を目指したきっかけを教えてください。
幼稚園の時に『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』を観て衝撃を受けて、「テレビ楽しそう! テレビにでたい!!」と思って親にも言ってたら、小学校5年生の時に児童劇団に入れてもらえたんです。俳優という職業について最初はよくわかってなくて、バラエティとかいろいろやらせてもらっているうちに、演じることが一番楽しいと感じました。映画もすごく好きだったから、僕の大好きな映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマイケル・J・フォックスと同じ職業だと思って嬉しかったです。できてないなと思うことをどうしたらできるようになるんだろうとか考えて、日々芝居に向き合っていることが楽しい。撮影現場が楽しい。
ーー今後の目標や新しく挑戦したいことがあれば教えて下さい。
一昨年、短編映画を一本とらせていただく機会があり、ありがたいことに国内の映画祭でいろいろ賞をいただきました。監督の仕事を少しずつもらえるようになり、作品を作る仕事も楽しいなと感じましたし、いつか長編映画を撮れたらいいなぁと思っていますね。振り返れば、いろんなことに興味をもって吸収してきたところがあって、最近はタップを習ってるし、バンドもやってるし、やれるタイミングがあったら、否定することなくとにかくチャレンジしてみたいなと思っていますね。
昔から老けてる老けてるって言われたけどようやく年齢に追い付いてきた気がしています。今後もいろんな作品に携わっていきたいので、この記事を読まれた監督さん、プロデューサーさん、マネージャーまで連絡ください(笑)。一緒に面白いことしたいです。頑張ります。
山口森広(写真は本人提供)
山口森広(やまぐち・しげひろ)プロフィール
1981年9月23日、神奈川県横浜市出身。11歳の時に子役としてデビューして以来、数多くの舞台、映画、ドラマ、配信作などに出演する。最近では、日本テレビ系『ブラッシュアップライフ』、テレビ朝日系『家政婦のミタゾノ』、フジテレビ系『イチケイのカラス』、Netflix『全裸監督2』などに出演。2021年には短編映画『捨てといて捨てないで』で初めて監督・脚本にも挑戦した。

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