バレエに関わるアーティストたちが集
う『The Artists - バレエの輝き-』
~芸術監督の小林ひかるに舞台への思
いを聞く

2023年8月11日(金・祝)~8月13日(日)文京シビックホール 大ホールにて、『The Artists - バレエの輝き-』が開催される。この度、本公演の芸術監督を務める、小林ひかるのオフィシャルインタビューが届いた。
英国ロイヤル・バレエ団のファースト・ソリストとして活躍後、2020年にバレエ公演を初プロデュースして注目された小林ひかる。いま、次なるプロジェクト『The Artists - バレエの輝き-』の公演準備に奔走中の彼女に、舞台への思いをインタビューした。
ーー2020年1月の『輝く英国ロイヤルバレエのスター達』がとても好評でした。手応えはいかがでしたか。
出演ダンサーは皆、英国ロイヤル・バレエ団のスターたちでしたが、作品そのものにもっと興味を持っていただけるよう、「ダイナミズム」、「パーソナル・エモーション」、「神秘的な存在」とテーマを設けてプログラムを組んだり、出演ダンサー自らが作品について語る映像を挿入したりと工夫をしました。「とてもわかりやすかった」という声が多く寄せられてとても嬉しく思いましたが、いろんなご意見をいただいたので、それは今後の公演に活かしていくつもりです。今回の公演も、4種類のプログラムを用意し、1公演で2種類ずつ上演する構成になります。ダンサーたちのインタビュー映像も織り交ぜますが、どのタイミングで入れるかなど、工夫を凝らしています。
ーー今回の『The Artists - バレエの輝き-』では、ロイヤルのスターたちだけでなく、ニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)、アメリカン・バレエ・シアター(ABT)の新鋭たちが登場する点が大きな見どころとなりますね。
ABT、NYCBはアメリカを代表するカンパニーですが、最近は日本公演の機会がないので、ぜひこの2つのカンパニーで活躍する素晴らしいダンサーたちを紹介したいと考えていました。
小林ひかる
ーー今回用意された4種類のプログラムはどのようなコンセプトで組まれたのですか。
プログラム1「The Masters」は、各バレエ団独自のレパートリーを中心にお届けします。プログラム2「The Classics」はプティパをはじめとする古典的名作を、またプログラム3「The Routine」では、ダンサーたちが舞台上でクラスレッスンを展開します。またプログラム4「The Future」では、未来を見据えて、2つの世界初演作品を上演するという趣向です。ちなみにプログラム3では、レッスンに取り組むダンサーたちの姿を、舞台上にリアルタイムで映し出します。そこでは、ダンサー出身でロイヤル・オペラハウスの写真家として活動しているアンドレ・ウスペンスキが活躍します。蛭崎あゆみさんのピアノ演奏にもご期待ください。
ーーダンサーのつま先の美しさや細かい筋肉の動きなど、バレエのこともよく理解されているからこそ、見せることができる映像になりますね。
そうなんです。今回タイトルに掲げた「The Artists」という言葉には、ダンサーだけでなく、バレエに関わるアーティストたち——写真家や演奏家の方たちも含まれているんです。
ーーそうした構想は、かなり前から温めていらっしゃったのですか。
当初から4年先のプロジェクトまで考えていたのですが、前回の公演が終わった直後にコロナ禍に突入し、あっという間にロンドンは外出禁止に。私はずっと、お客さまに劇場に来ていただき、ライヴで観ていただけるものを作りたいという思いがありましたから、劇場が閉じてしまったことは本当にショックでしたね。
ーーコロナ禍の間にロンドンからリーズへと拠点を移されて、ご自身を取り巻く環境は激変されたのではないでしょうか。
英国ロイヤル・バレエ団を引退した夫のフェデリコ・ボネッリが、昨年5月、ノーザン・バレエの芸術監督に着任し、それにともないリーズに移りました。皆が忙しく走り回っているロンドンとは全然違って、とてものんびりとした街ですよ。そんな中でもフェデリコはやるべきことが山ほどあって、息つく暇もなく忙しくしています。私は私で、いろいろなプロジェクトを掛け持ちしながら、ノーザンバレエ団のお手伝いをするなど、予想外に忙しいです(笑)。
ーーそんな中で、出演者への出演交渉も自ら手がけられたそうですね。英国ロイヤル・バレエ団からは、マリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフをはじめ、マシュー・ボール、ウィリアム・ブレイスウェル、マヤラ・マグリ、金子扶生と、旬のプリンシパルたちが勢揃いです。
そうですね、自分でプロデュースする公演ということもあり、どの様な公演を創りたいか、何をお客様に見せたいかがしっかりしている必要があるので、どのダンサーに声をかけるかはとても大事です。マリアネラは前回、スケジュールが調整できず断念したのですが、「次回はぜひ」と言ってくれて! 彼女は、ぜひもう一度日本の皆さんにお見せしたいと、『グラン・パ・クラシック』を踊ります。演目は全てダンサーと話し合いをしながら決めていますが、中にはマクミランの『カルーセル』という上演機会の少ない作品も。これはマヤラとマシューが踊ります。同時に、若手の五十嵐大地くんの登場もぜひご期待ください。また、NYCBからはタイラー・ペック、ローマン・メヒア、ABTからはキャサリン・ハーリンとアラン・ベルに加えて、昨年ABTに入団したばかりの山田ことみさんにも出演していただきます。
マリアネラ・ヌニェス

マシュー・ボール   (C)Andrej Uspenski

金子扶生

五十嵐大地

キャサリン・ハーリン&アラン・ベル
ーー二人の振付家の世界初演作品についても、ご自身で創作を依頼されたのですか。
そうなんです。NYCBのタイラー・ペックにはダンサーとして出演依頼をしていたのですが、ボストン・バレエなどでも振付を手がけられていると知り、ぜひ新作をとお願いしました。縁あって、フィリップ・グラスの楽曲の世界初演やレコーディングでも知られる滑川真希さんにピアノを演奏していただきます。もう一人はロイヤルのソリストとして活躍するベンジャミン・エラ。クラシックのダンサーとしてのイメージが強い彼ですが、ものすごくコンテンポラリーな作品を振り付けているのを見て衝撃を受けました。もっとクラシック系の作品もできるはずと思い、過去にも一度作品を創ってもらっています。今回の新作は、ヴァイオリン(山田薫さん)とピアノ(松尾久美さん)の生演奏と共に上演します。
タイラー・ペック&ローマン・メヒア    (c)Erin Baiano
ーーそうした交渉を含め、公演のプロデュースにはさまざまな難しさがあると思います。
公演は、裏で支えてくださる方々がいてこそできることだということがよくわかりました。私はこうした活動を通して日本のダンサーたちの地位向上を目指したいと考えています。そのためにも、まずはより多くの皆さまに、存分に楽しんでいただける公演をお届けしなければと思っています。

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