(左から)関智一、花澤香菜、野島健児

(左から)関智一、花澤香菜、野島健児

花澤香菜、関智一、野島健児が「PSY
CHO-PASS サイコパス」10年間で変化
したこと 家族や人付き合いについて

(左から)関智一花澤香菜野島健児 10周年を迎えたアニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズの最新作となる「劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE」が公開中だ。今作は、2019年公開の「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3 恩讐の彼方に__」とテレビアニメ3期「PSYCHO-PASS サイコパス 3」をつなぐエピソードが描かれる。3期はいくつかの謎を残したまま幕を下ろしたが、今作で空白のピースは埋まるのか――? 1期からシリーズをけん引してきたメインキャスト、常守朱役の花澤香菜、狡噛慎也役の関智一、宜野座伸元役の野島健児に話を聞いた。
■シリーズ概要
(c)サイコパス製作委員会 2012年にスタートしたオリジナルアニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」は、人間の心理状態を数値化して管理する近未来社会を舞台に、犯罪に関する数値「犯罪係数」を測定する銃ドミネーターを持つ刑事たちの闘いと葛藤、“正義”を問う姿を描く。
12年10月~13年3月にテレビアニメ1期、14年10~12月に2期「PSYCHO-PASS サイコパス 2」が放送され、15年に「劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス」が公開。2019年1~3月公開の劇場版3部作「Sinners of the System」を経て、同年10~12月に新たな主人公2人が登場するテレビアニメ3期「PSYCHO-PASS サイコパス 3」が放送され、20年3月には「PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR」が劇場公開された。
■初期に知らされたシリーズ構想とは
常守朱(CV:花澤香菜)(c)サイコパス製作委員会――10周年というアニバーサリーイヤーを迎え、さらに新作映画の製作を知った際の心境はいかがでしたか?
関 実は前から「こういう計画です」という事業計画みたいなものをもらっていました。
花澤 事前に聞いていたタイミングから少しずれましたが、こういう構想があるということ自体はずいぶん前から知っていました。だから「いよいよあれをやるんですね」という思いでした。
関 でも気になって監督に聞いたんだよね。
野島 そうですね。「本当にはじめからこういう内容で考えていたんですか?」と聞いたら、「大枠は作っていたけれど、細かい部分はその時々でどんどんブラッシュアップして作り込んでいった」と言われました。
狡噛慎也(CV:関智一)(c)サイコパス製作委員会――初期の段階でシリーズ全体の流れ、仕組みをしっかりと組み立てたうえで、さらに磨き上げていったんですね。
関 かしこいよね~!
野島 とても僕には作れない。
花澤 (笑)。でも3期の時点では「PROVIDENCE」の内容までは説明されていなかったので、今回の台本がきてからいろんな事実を知りました。そこで、朱ちゃんが捕まっていた理由がわかってびっくりしました。
■常守、狡噛、宜野座が勢ぞろいした今作 “待望の再会”にキャストは何を思ったのか
(c)サイコパス製作委員会――常守と宜野座が狡噛に会うのは、劇場版第1作となる「劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス」以来かと思いますが、再会シーンはどのような思いでご覧になりましたか。
花澤 宜野座さんが怒ってたのは見るからにわかりましたが、朱ちゃんも感情を表に出さないだけでちょっとスンとしているような気がしました。「これから、いろんなことを説明してくれるのかな? どうなのかな?」みたいな。みんなで「おかえり」って感じではなかったですよね(笑)
宜野座伸元(CV:野島健児)(c)サイコパス製作委員会野島 ギノさんは怒ってましたね(笑)。もうちょっと人間的に成長してるかなと期待しましたが(笑)。でも怒るくらい好き、それほど心配していた、ということだと思います。素直に「心配してたんだぞ」と言えばいいのですが、そこで怒っちゃうのがギノさんらしさと言いますか。第1期から相変わらずな部分がちょっと出ていて、微笑ましくもありました。
――関さんとしては、その時の狡噛の心境をどのようにとらえていたのでしょうか。
関 もう一周回って、変なわだかまりはあまり無いと思います。これまで自分は人殺しだという自覚と罪の意識を持って彷徨い歩いていたので、何と言いますか……賢者のモードに入っているというか。もう「生きよう」という感覚ではないと思うんです。
劇中でも、宜野座と「何かのために、自分の力が役立つなら使ってくれ」「それによって相応の罰を受けるのであれば、それを受ける」というようなことを話していました。だから、狡噛としては「受け入れられないなら、それも受け止める。でも自分がやるべきことはやります」ということなのかなと。結局、人を殺してしまっているから、それでいい人ぶって出てきてもね。難しい立ち位置の人物ですよね。
■新主人公の3期を“初期メンバー”はどう見ていた?
3期の主人公のひとり慎導灼(c)サイコパス製作委員会――今作を語るうえでテレビアニメ3期「PSYCHO-PASS サイコパス 3」は外せませんが、3期の収録・放送時、作品に対してどういった印象を抱いていましたか? 放送枠や新主人公の登場など、変化や挑戦の多い作品でもありました。
関 1時間枠で作りたいというのも(スタッフ陣が)前から言ってましたね。
花澤 でも結構早い試みでしたよね。ドラマのような作品でした。
野島 常に新しいことを考えてらっしゃる。
関 前のめりだよね。そういう前向きなところが好きですね。
花澤 登場人物も、今まで出てきた人たちではなく新しい人たちが出てきましたから、ご覧になった方は驚いたと思います。
3期のもうひとりの主人公、炯・ミハイル・イグナトフ(画像左)(c)サイコパス製作委員会――新しい主人公の登場、しかも慎導灼と炯・ミハイル・イグナトフのダブル主人公ということにも驚きました。
花澤 そうですね。そして、おそらくあの時点で「なぜ灼くんのお父さんが炯くんのお兄さんを殺してしまったのか」というような人物関係も緻密に作られていたからこそのキャラクターだと思います。私としては、人物像を詳しくは知らないけれど、新しく出てきた人という感覚ではなく、ちょっと親しみがわくというか。キャラクターがしっかり作られているからこそ、愛着がわくのかなと思いました。
――3期では、これまでのメインキャラクターの登場頻度が減って、新キャラクターたちの物語が中心となりましたが、そこに対して寂しさはありましたか?
関 僕は「PSYCHO-PASS サイコパス 2」の時にそこを払拭しているので大丈夫です。あの時は、知らないうちにアフレコがはじまっていて。別の仕事でスタジオに行ったら、隣のスタジオで「PSYCHO-PASS サイコパス 2」を録っていて、「あ、サイコパス録ってる。ちょっと寂しい」みたいなことがあったから、今はもう全然。
野島 賢者の心ですね(笑)
関 そう賢者の心。呼んでもらえるだけまだいい。少しでも関われてよかったみたいな。
花澤 一歩先を行ってますね(笑)
――新キャラ中心の3期があったからこそ、今作で1期のメインキャラクターである常守、狡噛、宜野座が再びそろい、事件に向かっていくという流れは感慨深いものがあったのでは?
関 そうですね。またメインにまた戻していただいてありがたい。
野島 ありがたいですね。
花澤 しかも1期から関係性が変わってるじゃないですか。そこも胸が熱くなりました。
(c)サイコパス製作委員会――そして現実は、10年という長い時間が経ちましたね。
関 最初は僕、40だったんですよ。それがもう50歳になっちゃって。
花澤 あの頃は40だったんですか?
関 そう、始まった頃がちょうど40なんですよ。そう考えるとやっぱりね。10年って早いようでそれなりのボリュームのある期間だったなあって感じます。
花澤 本当ですね。
関 第1期の頃に小学生だった人は、今は20歳くらいですから。そう考えると、僕らはちょっと前の作品という印象ですが、みんなは懐かしのアニメみたいな感じですよね。子どもの頃のアニメが、また今もやってるみたいな。
野島 (感慨深げに)第1期が懐かしのアニメか……。
花澤 今も続いているから、同時に今のアニメでもありますよね。今も愛されていますから。
■「PSYCHO-PASS サイコパス」の10年、それぞれの10年
最大の変化は家族や人付き合い、肉体は「ぎりぎり保ってる(笑)」
――ご自身でこの10年で変わったと思うところはありますか?
関 肉体的な不調は起きやすくなりました。
野島 (笑)
花澤 でもそういった変化を感じさせないくらい、ずっとお仕事されていますよね。
関 確かに、仕事によってぎりぎり保ってるというか(笑)。でも、コロナで休んでいた時期に家で座っている時間が増えちゃったから、それも良くなかったんだなと思って。野島くんや花澤さんほどではないけど、今は気が付いた時は歩こうかなと意識しています。2人はめちゃくちゃ歩いてるんですよ。野島くんは、昨日もすごい距離を歩いたんだよね?
野島 3万2000歩です(笑)
関 そういうところを見習っていかなきゃな。年を取ると足腰が大事って聞きますから。
野島&花澤 (笑)
野島 僕は話すと10年くらいかかってしまいそうです(笑)。それくらい激しく変わっていて、それこそ10年前は息子がまだ10歳くらいだったので、一緒に仕事をする日がくるとは思っていませんでした。そしてシリーズが10周年を迎え、「PSYCHO-PASS サイコパス」ファンだった息子が来月20歳になるので(※インタビューを行ったのは4月)、一緒に酒を飲む店の予約をしました。10年という月日の大きさを感じます。父親にならせてもらったな、という10年でした。
花澤 私は人とちゃんと話せるようになりました(笑)
関 どういうことですか? 上の空だったの?
花澤 違います(笑)。第1期のアフレコはものすごく緊張して、自分のことでいっぱいいっぱいで、自分から皆さんとコミュニケーションをとることができませんでした。
関 みんな花澤さんにかまってたよね。
花澤 そうなんです、先輩たちが本当によくしてくださいました。だからこそ今は、新人の子がいる時は、私から話しかけるようにしています。ちゃんとしようと行動するなかで、ちょっとずつ話せるようになりました(笑)
――お互いの変化はいかがですか? 第1期で共演した頃から比べて、お互いに変わったと思うところはありますか。
野島 関さんは昔からずっと変わりません。クオリティを落とすことなく仕事をやり続けてらっしゃるので、僕にとっては変わらず「追いかけ続けている先輩」です。
関 ありがとうございます。あえて否定はしません。
野島&花澤 (笑)
関 (笑)。謙遜する気持ちはあるけど、そう言っていただけたからこそ、そうあろうっていう気持ちです。でも、僕から見た野島くんも変わった印象はありません。プライベートな部分は見ていないので、あくまで仕事現場ですが、大きく変わったと感じるところはないです。そういう意味では、変わらないっていうのもすごいことですよね。
花澤 私から見た野島さんは、前からほんわかされていましたが、よりほんわかされたような気がします。
野島 ほんわかですか?(笑)
花澤 昔からお話ししていて癒しオーラがありましたが、よりそれを感じるようになりました。
関 野島くんはほんわかしてそうだけど根っこの部分は熱血だと、僕は思ってます。すごく熱い人。
花澤 関さんは、前の方が下ネタを言っていたような……。
一同 (笑)
野島 それはね、やっぱり時代的にね(笑)
花澤 でも、もう少し言ってほしいです(笑)
関 言わなくなっちゃった(笑)。時代が変わると、自分も変わっていくよね。
――(笑)。そんな関さんから見て、花澤さんの変わった部分はどこでしょうか?
関 花澤さんは、出会った時より人間的にふくよかな成長を遂げられているので、前ほど後輩という感覚がなくなった気がします。
花澤 素敵な表現をしていただいて、すごくうれしいです! ずっと覚えていると思います(笑)
関 (笑)
花澤 自信がなくなった時は、この言葉を思い出して頑張れる気がします!
一同 (笑)

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