アジカン、Perfume、バニラズ、GENE
RATIONS、緑黄色社会が彩った20回目
の『FM802 SPECIAL LIVE 紀陽銀行 p
resents REQUESTAGE 2023』

『FM802 SPECIAL LIVE 紀陽銀行 presents REQUESTAGE 2023』2023.4.29(SAT)大阪・大阪城ホール
4月29日(土)、大阪城ホールにて毎年恒例の『FM802 SPECIAL LIVE 紀陽銀行 presents REQUESTAGE 2023』が行われた。FM802が主催の本イベントは「ラジオから流れるライブを生で体感してほしい」との想いで2002年からスタート。今年は記念すべき20回目の開催。そしてようやく声出しOKの『REQUESTAGE』が帰ってきた! 今回の出演者は緑黄色社会GENERATIONSgo!go!vanillasPerfumeASIAN KUNG-FU GENERATIONの5組。この日にしか味わえないスペシャルで熱いステージが目白押しの1日となった。そんな大充実のライブレポートをお届けしよう。
GW初日となった人も多いであろうこの日はあいにくの雨模様。色とりどりの傘を開いたオーディエンスが続々と会場の大阪城ホールに吸い込まれていく。北側玄関前のテントではアーティストグッズとオフィシャルグッズが販売されていたが、オフィシャルグッズは早くも完売となっていた。
ステージは横に広い構成で、アリーナはスタンディング。さながら巨大なライブハウスのようだ。大きな会場をなめるようにゆっくりと動くカラフルな照明と洋楽のBGMが会場のボルテージを高めていく。Tシャツにタオル姿の人も多く、みんな思い思いに応援する格好でこの場に臨んでいた。
定刻になり、FM802 DJの高樹リサによる影アナが入る。マスク着用をしての声出しOKのアナウンスがあると、腹の底から響くような歓声が会場から湧き上がった。オーディエンスの高揚が伝わってきて、思わずグッとくるものを感じる。
FM802 DJ 大抜卓人、落合健太郎
そしてMCをつとめるFM802 DJの大抜卓人と落合健太郎が登場。がっちり握手とハグを交わす様子から、このイベントに懸ける想いと気合いを感じる。落合は「みんな声出しライブ、ほとんどの人が慣れてると考えていいですか!?どう?」大抜は「今回はジャンルレスな特別な5組が出てくれてます。他にないラインナップだと思いますんで、皆さんその好きを目一杯アーティストに伝えてください!」とテンション高く叫び、一番手へとバトンをつないだ。
FM802 DJ 大抜卓人
FM802 DJ 落合健太郎
緑黄色社会
トップバッターは『REQUESTAGE』初登場の緑黄色社会。大抜と落合に呼び込まれ、元気に駆け込んだ4人とサポートドラムの比田井 修。長屋晴子(Vo.Gt)が「ここにいるみんなで最高の日を作りましょう!」と高らかに叫び「キャラクター」「たとえたとえ」という、リョクシャカらしい爽やかなアンセムを連投して会場を盛り上げる。
穴見真吾(Ba)は嬉しそうにジャンプし、小林壱誓(Gt)はステップを踏みながら、peppe(Key)も笑顔でとても楽しそうに演奏する。そして「今日はみんなのリクエストを元にセットリストを作ってるんですけど、新しい私たちも知ってほしい」と、5月にリリースされる最新アルバム『pink blue』から「White Rabbit」を披露。美しくも情熱的なミディアム調のバラードで、どこかノスタルジックな雰囲気を漂わせる。さらに「ミチヲユケ」では、天井の高さを存分に活かした大迫力&妖艶な照明演出で楽曲の世界観を奥深く描き出した。
MCでは長屋がセットリストの組み方について触れる。「今回はリクエストということでみんなと一緒に考えました。それがすごく嬉しかった。リクエストにはその曲にまつわるエピソードがあるじゃないですか。だから今日はこのセットリストの中に、ここにいる誰かの、何かの思い出が乗ってるんだなと思って。これから続いていくアーティストの方達のどの曲にも言えることだと思うから。誰かの思い出なんだなって頭に置きながら聞いていただきたいし、私もそうやってライブをするので」と述べて「Shout Baby」「sabotage」を全力プレイ。ラストは<ここ、『REQUESTAGE』のヒーローになりたいのさ>との歌い出しから代表曲「Mela!」で締める。最高のライブアレンジで魅了して会場をひとつにする。実に堂々たるライブで、大抜にも「ヒーロー」と言わしめた緑黄色社会だった。
緑黄色社会
GENERATIONS
GENERATIONS
会場の熱気をさらにグイッと引き上げたのは、こちらも『REQUESTAGE』初登場のGENERATIONS。「2023年10周年イヤー!」と落合に紹介されただけで察した客席からは大歓声が上がり、一気にカラフルなペンライトが灯る。7人の姿が露わになり「ワンダーラスト」からライブがスタートすると、一瞬で華やかなエネルギーが放たれた。
片寄涼太と数原龍友の歌声が伸びやかに響き、白濱亜嵐、小森隼、佐野玲於、関口メンディー、中務裕太のダイナミックなダンスが圧巻する。「AGEHA」を経て、GENEらしいEDM調アレンジの「Y.M.C.A」をパワフルにプレイしながら<Y! M! C! A!>と客席を踊らせる。関西出身の数原が「あかんあかん、関西の人こんなもんちゃうやろ!」と煽ると熱量はまたも上昇。ジャンプで盛り上げた「Evergreen」を経て、MCでは「熱気がすごいな」と片寄。GENEを知ってるけどライブは初見という人の多さにメンバーはテンションを上げる。
「花」と「空」をしっとりと聞かせ、後半は「Hard Knock Days」、「チカラノカギリ」とパワフルなアンセムを連続投下。最後はタオル振り回し&しゃがんでジャンプ! でこれでもかと会場を熱くした、白濱が作詞作曲を手がけた「NOW or NEVER」でひとつになる。あまりの熱さに白濱と佐野は上半身裸に。袖で見ていた大抜が数原にステージに連れて来られ、8人目のメンバーとして一緒にタオルを振り回す場面もあった。客席にもタオルの花が咲き乱れ、会場全体を巻き込んで最高潮の盛り上がりを見せた。初めて見る人が多くても、ダンスと歌の力でここまで盛り上げられるのはさすがの一言。「俺たちについてくれば大丈夫!」と言わんばかりの自信が心地良く、いつまでも鳴り止まない歓声が彼らの人気を物語っていた。
go!go!vanillas
go!go!vanillas
続いてはgo!go!vanillas。彼らを呼び込む際の大抜のMCが胸に迫るものだったので紹介したい。柳沢進太郎(Gt)の加入前から彼らを知る大抜。徐々に力をつけて中核バンドになった。「でも途中でベースのプリティが怪我で出られない年があって。その年の最後、岐阜のフェスで3人のライブが終わって楽屋で牧くんにすごいねと言ったら、「違うんですよ。俺ら、4人が最高なんです」と。それから4人で動き出したけどコロナがあって、諦めずにやり遂げて去年の『フジロック』。目標だったGREEN STAGE。前日に進太郎はコロナになって出られない。急遽、特別な編成を組んだ。終わって牧くんにすごかったねと言ったら「違うんですよ。俺ら、4人が最高なんです」常にそう言っていた。昨年9月に城ホールを満員にした。ライブハウスから4人でこの会場まで持ってきた、それが彼らなんです!」と、長年彼らを見守ってきた大抜だからこその熱い言葉に後押しされて、牧達弥(Vo.Gt)、柳沢進太郎(Gt)、長谷川プリティ敬祐(Ba)、ジェットセイヤ(Dr)、サポートキーボードの井上惇志がピースをしながら登場。大抜の熱が伝播した会場は早くも最高潮の高まりに。
「大阪ブチ上がっていこうぜー!」と牧が叫び「平成ペイン」を勢いよく投下! 続けて柳沢がこの日の出演者の名前を全力コール&レスポンスした「カウンターアクション」、長谷川が「今日1番の馬鹿騒ぎいこうかー!」と叫び、メンバー全員がボーカルを取る「デッドマンズチェイス」を全速力で駆け抜ける。とにかく波に乗りまくり絶好調でロックサウンドをぶちかます。「青いの。」では、GENERATIONSファンがペンライトを青く光らせる様子も見られた。
牧は「皆元気でここにやってきて色んな音楽を楽しめる最高の日ですね!」と嬉しそうに笑う。「FM802とはもう随分長い間、切っても切り離せない絆ができてるんですけども……」と話す途中には、ジェットセイヤが後ろで紀陽銀行のマスコットキャラ・キヨー坊やを掲げて「愛してるぜ802」と和ませる。「さっき卓人さんも言ってくれたけど、ロックバンドの誰か1人欠けてしまったらできない状況を味わって今ここに立ってる。何か些細なことでもいいから、音楽が皆の支えになれたらなと思って。リクエストで選ばれた曲をやりたいと思います」と「アメイジングレース」を披露。<大阪の未来に 音楽を愛するここに集まった皆の未来に>と歌詞を替え、希望の人間賛歌で軽やかに締め括った。「4人が最高」と牧の言葉通り、メンバー全員の見せ場があり、彼らの歴史と絆、強さを感じさせる素晴らしいステージだった。
Perfume
Perfume
6年ぶりの『REQUESTAGE』登場で、今年初オンステージとなったPerfume。ステージセットからPerfumeだとわかったファンがメンバーの名前を呼ぶと、それがトリガーとなってあちこちから声が上がり自然にクラップが発生。落合は「すごいね皆さん!」と称賛する。あ〜ちゃん、かしゆか、のっちの3人がステージに登場、「ポリゴンウェイヴ(Original Mix)」からライブスタート。指先まで美しく揃ったダンスがゾクゾクするほどカッコ良い。あ〜ちゃんが「いけるか大阪ー!」と叫び「ワンルーム・ディスコ」へ。そして「リクエストしてくれた1位の曲をやりたいと思います」と「Dream Fighter」で圧倒する。
ここでスペシャルな展開が。暗転が開けて「FLASH」が始まると、ステージにはGENERATIONSのメンバーが! 昨年Abema TVで放送された『GENERATIONS 24時間テレビ 24時間いろんなライブできるかなぁ?』をキッカケにコラボした「FLASH」とGENERATIONSの「Make Me Better」を初のライブ生披露! 会場から割れんばかりの歓声が上がる。繊細かつ正確、スタイリッシュなPerfumeのダンスとパワフルでダイナミックなGENERATIONSのパフォーマンスの融合は見応え抜群。メンバーも観客も楽しそうで、しばらく会場の興奮はおさまらなかった。
「あたたかく迎えてくれてありがとうございます」と感謝を述べるGENERATIONSとコラボのことを振り帰りつつ、「この後。アジカン大先生が待ってるんだから! 熱く盛り上げておかないと先輩たち出てこないよ! 体動かせるか〜!」という全力の煽りから「FAKE IT」をガツンとキメて、最後は「ライブでずっと封印していた曲です。この曲がリクエストでランクインしたということは、皆が声を出したいということと受け取っていいですかー!」と「チョコレイト・ディスコ(ASIA ver)」を解禁! 久々に実現したコール&レスポンスに、あ〜ちゃんは感極まって涙を流す。
ものすごい熱狂に「皆さんの声援で勇気が出ました!(かしゆか)」「皆のチョコレート・ディスコ最高でした!(のっち)」とそれぞれ喜びを口にして「新時代が来たんですね。私たちと一緒に最高の時間を過ごしていきましょう〜!(あ〜ちゃん)」と叫び、「3人合わせてPerfumeでした!」と自己紹介をして大歓声に見送られながらステージを後にした。
ASIAN KUNG-FU GENERATION
20回目の『REQUESTAGE』のトリを飾るのは、ASIAN KUNG-FU GENERATION。「『REQUESTAGE』最多出演アーティスト。『REQUESTAGE』はライブが最高のバンドに出てもらってる。最多出演の理由は、これから始まる時間にあると思います!」との大抜の力強い言葉が期待をさらに押し上げる。後藤正文(Vo.Gt)、喜多建介(Gt.Vo)、山田貴洋(Ba.Vo)、伊地知潔(Dr)にサポートのGeorge(Key/MOP of HEAD)とAchico(Per./Ropes)を迎えた6人編成でステージに登場したメンバーは、いきなり名曲「ソラニン」を投下。
さらに「リライト」とアンセムの連続で会場はヒートアップ! ライブアレンジのセッションがアダルトでカッコ良いなぁ……と浸っていると、後藤が「こんばんは、ASIAN KUNG-FU GENERATIONです」と話し始める。「俺たちは暗くて汚いライブハウスから20年ぐらいかけて、叩き上げてこのステージにやってきて。ここ3年ぐらい本当にライブハウスの状態はマジで辛くて、色んなミュージシャンが心を悩ませてきて。でもこうやってフェスとかできることが本当に嬉しい。皆が集まってくれてることが俺たちのエネルギーになってます」と述べ、「俺たちらしく最後まで演奏するんで、自分らしく自由に。良いんだよ、サイリウム?むしろ俺はつけてほしいなと思っちゃって。ライブハウスじゃ見ないから逆に嬉しい」と話し、曲に戻って壮大にグルーヴを響かせる。
MCでは後藤が「本当に毎年出させてもらって。智弁和歌山ぐらい出てるわけなんですけども」と言うと会場は爆笑の渦に。「普通に暮らしてると暗い時代だなと思い込んじゃうんだけど、こうやって1日ステージにいたら、生きてるって悪くないよねという気持ちになれる。こういう場を用意してくださってありがとうございます」と改めて感謝を述べ「音楽は私たちのものだという気持ちを込めて作った」という「You To You」、技術の妙が詰まったアンサンブルが痺れた「Re: Re:」、ラストチューンの「転がる岩、君に朝が降る」を抜群の安定感と貫禄で演奏する。さすがの存在感だ。最大の拍手はそのままアンコールを求めるクラップに変化。
しばらくしてステージにカムバックした後藤は「小森くんにはだいぶ愛してもらってね。この間、FM802で収録に呼んでもらって、亜嵐くんとも曲作りの話をして。今日は彼の曲が最後にやられてすごい良いなと思って」とGENERATIONSの話題にも触れて「色んな場所で色んなやり方で色んな方法の音楽があって、どれが優れてるとかはない。俺はほんとにクソ野郎で、自分が作る音楽以外はゴミなんじゃないかと思って生きてた10代〜20代前半があって、この年になるとそれぞれの達成が眩しくて、俺たちも俺たちなりのやり方でやっていくしかないと思いました。あなたがありのままでありますように」と穏やかな表情で述べ「最後に俺たちをフックアップしてくれた802に最大限の愛を込めて」と2003年11月度のヘビーローテーションにもなった「君という花」を披露。まさに20年前、『REQUESTAGE』が始まった年にリリースされた楽曲が今も鮮やかに鳴らされていることに感激する。言わずもがな最高の一体感を見せて大トリのステージを締め括ったアジカン。メンバー全員で肩を組み、深々とお辞儀をする姿にまた彼らの歩んできた道のりを思って胸が熱くなった。
こうして20回目の歴史を刻んできた『FM802 SPECIAL LIVE 紀陽銀行 presents REQUESTAGE 2023』はこの日にしかない素晴らしい熱狂を生み出して、大成功で幕を閉じた。そして改めて、アーティストと二人三脚で歩むラジオ局・FM802の姿勢を目の当たりにすることができた。この日のライブ音源特別番組が5月13日(土)16:00〜18:00にFM802で生放送された。DJはMCをつとめた大抜卓人と落合健太郎。1週間、タイムフリーで視聴することができるのであの日の興奮を再び耳で感じてみよう。
取材・文=久保田瑛里 写真=FM802提供(撮影:渡邉一生)

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着