藤田麻衣子

藤田麻衣子

【藤田麻衣子 インタビュー】
“側にずっといてくれたのに”って
いう人とタッグを組んだ作品

自分で作詞作曲することに
こだわらなくてもいい

そして、共作はwacciの橋口洋平さんともされています。

橋口くんもSUNNY BOYと同じくらい…それこそ15年ぐらい前からの知り合いで、wacciになってからもライヴイベントで一緒になったり、私がwacciのライヴを観に行ったり、橋口くんが私のライヴを観に来てくれたり、たまにランチをしながら近況報告をしたりしていて(笑)。昔からいい曲を書いていて、最近はさらに活躍していますよね。本当に素晴らしいって思うんです。私は歌詞に関しては、自分が本当にいいと思えたものしか歌いたくなくて、そのことは橋口くんも知っているんですよ。それくらい歌詞へのこだわりが強い私が、歌詞を書いてもらうんだったら橋口くんしかないと思ったんです。それで“橋口くんが書いてくれた歌詞を歌いたいんだけど”ってお願いしたら、やってくれると言ってくれて、どんなテーマがいいのか打ち合わせをしました。『忘れられない人』の中に「人魚姫」という曲があって、“姫”シリーズっていいなと思っていたので“白雪姫”をテーマに歌詞を書こうとしたんですけど、実は私はまったく書けなかったんです(笑)。なので、“白雪姫で書けないかな?”と相談しつつ、ディズニーの作品では『美女と野獣』が好きだということも伝えて。でも、橋口くんは観たことないって言うから『美女と野獣』について15分くらい話したら、“本当に好きなんだね(笑)”って。“白雪姫”と“美女と野獣”のふたつのテーマを持ち帰ってもらって、先に白雪姫を題材にした「鏡よ鏡」が上がってきたんです。“めっちゃいい! 何、この歌詞!? 私には書けないよ!!”って感激しちゃいました。“鏡よ鏡”という言葉を使えば誰もが白雪姫を思い浮かべると思うんですけど、そうじゃなくて“私よ私”とか“あなたよあなた”という言葉に置き換えていて、そこが自分にはできないところで。私はどちらかと言うとストレートに表現することが多いから、もう本当に羨ましいなって。その後“美女と野獣”も上がってきたんですけど、作ってる時に“ビーストみたいに”とか“〇〇みたいに”っていう言葉を入れたいと言ったら、橋口くんは“〇〇みたいに”みたいな言葉は歌詞にあまり入れないそうで、逆に“僕が書いてみて、そこに麻衣子ちゃんが書きたい歌詞を加えるというのもあり?”と提案してくれて、共作というかたちにしてもらったんです。

それで共作というかたちになったんですね。

そうなんです。

もしかしたら15分くらい話した熱意を感じて、そういう提案をしてくれたのかも!?(笑)

あぁ、そうかも!? アツく語りすぎたので、あえて完成させずに余白を残してくれたのかもしれないです(笑)。でも、2曲とも橋口くんにお願いして良かったと思っています。

「鏡よ鏡」はMVも作れたということですが。

はい。曲自体は結構淡々としているんですけど、曲調は暗くないので、ちょっと陽が差し込んでいるような温かい部屋で少し微笑みながら歌ってる私がいて、歌詞の中に振られてちょっと黒っぽい女心が見えるので、黒い衣装で鏡の前で歌ってるシーンもあったり。どちらも本音みたいな感じのMVに仕上がっています。自分が出演するMVは平川大輔さんとの「手錠」以来で。橋口くんの曲が良すぎて“私、映る!”と言って出ることにしました(笑)。

それも曲のおかげですね(笑)。あと、1曲目の「漆黒」。これもある意味でコラボかと。

そうですね。この曲は『イケメンヴィラン 闇夜にひらく悪の恋』という恋愛ゲームの主題歌なんですけど、ヴィランっていうのは敵役みたいなもので、“いけない恋”がテーマなんです。私としては得意なところなので、“自分の好きな感じの話が来た!”と思ってお受けしました(笑)。昨年の夏とか秋ぐらいに依頼があって、どんな曲を作ろうかと考えながら“この曲を出すのは2023年の春くらいになりそうだから2023年の代表曲を書こう”という気持ちで作り始めたのを覚えています。なので、私の過去の楽曲「宝物」(2013年2月発表のベストアルバム『LOVE STORY BEST ~緋色の欠片~』収録曲)「ギブミーサンドバッグ」(2016年11月発表のベストアルバ『10th Anniversary Best』収録曲)や、平川大輔さんに楽曲提供した「共犯者」のアレンジもされている大野宏明さんにアレンジをお願いして。アツいサウンドにしたいと思った時は大野さんにお願いしたら間違いないので(笑)。

今作は一曲一曲がチャレンジというくらい、いろんなことをやったアルバムになりましたね。

SUNNY BOYも橋口くんも15年くらい前から知っているのに、ちゃんとコラボしたことはなかったし、柳田はるかちゃんとは何年もかけて一緒に作ったし…それと今回半数くらいの楽曲をミックスしてくれているエンジニアの寺田さんは今回が初めてなんですけど、実はライヴのPAを十何年もやってくれている方なんです。ライヴではいつもお世話になっているのに、CD音源にかかわってもらったことはないと気づいて(笑)。そんなふうに“側にずっといてくれたのに”っていう人とタッグを組んだ作品ですね。すごくいい機会だったと思います。

そして、リリースの後はやっぱりライヴでしょうか?

8月にヒューリックホールでのライヴを予定しています。バンド編成がいいかなって。いろんなタイプの曲が入っているからバンドでの演奏を中心にして、曲によってはアコースティックセットでやるというのがいいなぁって思っています。

ライヴも声出し解禁とか状況が変化してきていますしね。

この3年くらいはライヴをやることに前向きになれなかったんです。15周年があったから、そのアニバーサリーではいろんなことをやりきろうと思ってやってきましたけど、全体的には積極的になれず。でも、今はそういう状況の変化もあって前向きな気持ちになっています。フリーライヴのお話も出てきているので、3年振りにそういうこともできそうですし、お客さんの近くで歌える機会が増えそうで嬉しいです。この3年で改装工事したお店も多いじゃないですか。私も改装工事じゃないですけど、新しい自分になって戻ってこれたような気がしています。ぜひ、フリーライヴやツアーに来ていただいて、お会いできればと思います。

取材:田中隆信

アルバム『Color』2023年5月24日発売 Victor Records
    • 【初回限定盤】(CD+カレンダー)
    • VIZL-2191
    • ¥4,950(税込)
    • 【通常盤】(CD)
    • VICL-65822
    • ¥3,300(税込)
藤田麻衣子 プロフィール

フジタマイコ:2006年9月、シングル「恋に落ちて」でCDデビュー。全ての楽曲で自らが作詞作曲を手がけており、恋愛ソング・応援ソングがTVCMをはじめとした多くのタイアップに起用されている。近年はテレビ番組『はじめてのおつかい』のオリジナル挿入歌にも楽曲が起用され話題に。アーティストへの楽曲提供も数々行なっている。透き通った歌声、歌詞への共感、ドラマチックなメロディーで、ライヴ会場では涙する人も多い。ライヴに訪れる約7割が女性ファンと、特に同性から高い支持を得ている。藤田麻衣子 オフィシャルHP

「戻りたい、もう戻れない」MV

「鏡よ鏡」MV

「漆黒」MV

「シンプル」MV

OKMusic編集部

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