The Street Sliders、9月から7都市巡
るツアー開催を発表 22年ぶりの再集
結・日本武道館公演オフィシャルレポ
ート到着

解散以来22年ぶりとなるライブを5月3日に日本武道館で開催したThe Street Slidersが、9月からツアー『The Street Sliders TOUR2023 「ROCK’ N’ ROLL」』を開催することを発表した。14,000人熱狂を熱狂させた22年ぶりの再集結公演となった5月3日の日本武道館公演『The Street Sliders “Hello!!”』のオフィシャルレポートを掲載する。

2023年1月23日に、The Street Slidersのデビュー40周年を記念してオフィシャルサイトが立ち上がり、トリビュートアルバムとオリジナルアナログマスターをリマスタリングしたオリジナル盤の2枚組『On The Street Again -Tribute & Origin-』が、3月22日にリリースされることが告知された。そして、その4日後の1月27日に、5月3日に日本武道館にて、The Street Slidersが解散以来22年ぶりにライブ『The Street Sliders Hello!!』を行うことが発表になった。
数多のバンドが、解散もしくは活動休止した後、年月を経た末に再始動してきた中、もっともそれを望まれる存在でありながら実現しなかった、The Street Slidersの再集結。
HARRY(村越弘明)と蘭丸(土屋公平)のユニットであるJOY-POPSは、2018年にThe Street Sliders解散以降では初めてのツアーを開催し、その後も2020年、2022年とライブを行ってきたし、音源のリリースもあった。しかし、そのアクションがThe Street Slidersにつながることはなかった。それをファンは皆知っていただけに、このたびの再集結は、日本中のファンに、まさに驚きをもって迎えられた。
この日の日本武道館は、ステージの真後ろまで含む360度、2階のてっぺんまで……いや、さらにその最後方の立ち見スペースまで、オーディエンスで埋まった状態。個人的に、武道館で360度観客を入れているライブは、過去にも何度か経験があるが、この日のように、全角度が2階のてっぺんまでびっしり入っているのを見たのは初めてだった。この日のステージは、2階の最後部まで人を入れても極力見切れがないように、ステージの両端を幕で覆ったりせず、天井と床が完全に分離した、特殊なデザインが採用されていた。申込者の数分の一だったという、チケットを手にできた幸運な14,000人(普段の武道館はマックスでも9,000~10,000人ぐらい)が、この歴史的瞬間に立ち会った。いや、生中継で立ち会った人を含めると、その数は何十倍、何百倍にも及んだであろう、と思われる。
この日、The Street Slidersが演奏したのは、本編15曲、アンコール2曲の全17曲。開演前のBGMが鳴っている時点で、もうハンドクラップや歓声が起こっていた場内は、客電が落ち、JAMES(市川洋二/ベース)、ZUZU(鈴木将雄/ドラムス)、HARRY(村越弘明/ボーカル&ギター)と蘭丸(土屋公平/ギター)の順にメンバーが登場すると、22年待ち続けていたファン達による、会場が揺れる程の歓声が日本武道館を包んだ。
1曲目は「チャンドラー」(1984年)、2曲目「BABY BLUE」(1995年)、次は『天使たち』(5thアルバム/1986年)のリードシングルで、リミックスバージョンもよく知られている「Angel Duster」、4曲目は「Let’ s go down the street」(1985年)──。と、前半は様々な時期のアルバムからピックアップされたミドル~スローな曲が中心になった構成。そして「one day」「すれちがい」「Pace Maker」と、初期の曲が続いたその流れは、「ありったけのコイン」で最初のピークを迎えた。
なお、「チャンドラー」でステージのセンターでギターソロを決め、その後HARRYの傍らに行って弾いた蘭丸は、それ以降も何度もHARRYと向かい合ってプレイした。
「ありったけのコイン」を歌い終え、“サンキュー”と笑顔を見せたHARRYは、“それじゃあ、新しいやつを”と、「曇った空に光放ち」と「ミッドナイト・アワー」の2曲を聴かせる。前者は2021年、後者は2022年に、JOY-POPSで発表した曲である。言うまでもなく、この4人で鳴らされるのは初めて。「ミッドナイト・アワー」を歌い終えたHARRYは、右手の人差し指を掲げるおなじみのポーズを、3回続けてやってみせた。HARRYによるメンバー紹介を経て、“公平が歌うぜ!”と叫んで「天国列車」へ。蘭丸のサイケデリックな声による《はしれ はしれ》が武道館に響く。間奏とアウトロでは、HARRYがギターソロ。そして“OK、JAMESが歌うぜ!”と始まったのは「Hello Old Friends」。ボ・ディドリー・ビートにのってJAMESが力強く歌うこの曲では、HARRYがソロを奏で、蘭丸がそれを引き継ぎ、最後にZUZUが独奏を聴かせた。
いよいよライブも後半、13曲目は「So Heavy」。1983年リリースの2ndアルバム『がんじがらめ』のリード曲である、軽快でアッパーでアグレッシブなリリックが載ったこの曲で、オーディエンスが一斉に爆発。HARRYの歌声は、サビの終わりの《So Heavy!》のリフレインのところ、この歌の最高音部まで、悠々と届いている。その熱い空気は、続く「Back To Back」でさらに昂り、女性客の悲鳴のような歓声も、男性客の怒号のようなメンバーを呼ぶ声も、いっそう大きくなった。が、歌い終えたHARRY、“じゃあ最後の曲”。大半が大人のオーディエンスとは思えない“えー!? ”という声が武道館を満たす。そんな素敵に大人げない大人たちに、最後に「風の街に生まれ」が贈られた。
アンコールは、「のら犬にさえなれない」。イントロが鳴った瞬間に、14,000人が“きたっ!”という空気になった。マスクの上からでもわかるくらい、多くの人が一緒に口ずさんでいる。そして、この再集結に関わったすべてのスタッフとオーディエンスへのHARRYの感謝の言葉を経て、ラストチューンは「TOKYO JUNK」。場内が明るくなり、「So Heavy」から「Back To Back」の時以上の熱気が武道館を満たす。演奏を終えた4人は、楽器を下ろしたあとも、しばしステージに留まり、自分たちをぐるりと囲んだ14,000人に挨拶し、別れを惜しんだ。HARRYが蘭丸と肩を組むと、ワッと歓声が上がる。4人が去ってエンドSEが流れた後、ステージの四方を囲む形で突如白い幕が落ちる。そこに手書き文字で書かれていたのは、
“ザ・ストリート・スライダーズ 秋・ツアーやるゼィ!“。
おそらく、誰もが予想だにしなかったライブツアーの発表で、興奮と歓喜の大きな歓声と拍手に包まれる中、22年ぶりの日本武道館公演は幕を閉じた。

文=兵庫慎司 撮影=土居政則

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