Galileo Galilei尾崎雄貴、The 1975
への「特別」な思い語る バンドカバ
ー歴はすでに10年以上

The 1975が、4月24日(月)東京ガーデンシアターを皮切りに、バンド史上最大のジャパン・ツアーを開催中。昨年、サマソニのヘッドライナーという大役を、“当たり前のごとく”堂々とつとめ、10月には最新作『外国語での言葉遊び』をリリース。現在、何度目かのキャリア最盛期を迎えていると言っていいだろう。このタイミングで、以前からThe 1975の「It’ s Not Living (If It’ s Not With You)」「Happiness」などの日本語詞カバーをYouTubeにアップロードしているGalileo Galilei・尾崎雄貴にインタビュー。出会い、そして同じ音楽人としてリスペクトしている点を語ってもらった。
■アートな香りのするバンドが多い中で新鮮に見えた
ーーカバーのクオリティが素晴らしく、こういった機会を設けさせていただきました。The 1975との出会いのきっかけから教えてもらえますか?
初期の「Milk」という曲を、スタジオセッションしている動画を見たのが最初ですかね。ドラムの和樹(尾崎雄貴の弟)が見つけて勧めてきて。その頃、僕らはボンベイ・バイシクル・クラブが大好きで、ずっと「ボンベイボンベイ」って何かと言っていたんですけど(笑)、その流れで見つけたのかな。世代も近くて、すげえ素敵な兄ちゃんたちが現れたって思いました。
THE 1975 - HAPPINESS(WARBEAR COVER)【ODC SESSIONS】
カバーした原曲 The 1975 - Happiness(Official Video)
ーーどういう点が好みだったんですか。
まずは曲っていうよりも、演奏している姿のかっこよさに目を惹かれましたね。ボーカルのマシューは、「歌いながらどうやってこのリズムギター弾いてるんだ」ってなったし、ドラムの人の叩き方とか、まるで「オーガ」のような迫力で。その当時、UKから出てきたルーキーバンドって、ちょっとアートな香りがするのが主流だったんですけど、The 1975は曲にエモジャンルの雰囲気あって、かつ見た目は80年代のような「艶」があるのが新鮮に映りましたね。
ーーちなみに尾崎さんが一番聴いた作品は?
2枚目のアルバム『君が寝てる姿が好きなんだ。なぜなら君はとても美しいのにそれに全く気がついていないから。』ですかね。当時、古いロックミュージックを深堀りしていて、プロデューサーではないんですけど、よく音楽の知識をくれる“ドラムおじさん”がいるんですね(笑)。その人に、「The 1975っていうバンドが面白いと思っているんですけどどう思います?」って聞いたら、「このボーカルはピーター・ガブリエル(※ロックバンド『ジェネシス』の初代ボーカル)になりたいんだよ」って言われて。最初はピンと来てなかったんですけど、2枚目のアルバムの頭に『ラヴ・ミー』っていうシングル曲を持ってきたのを聴いて、僕の中では「なるほど!」と合点がいったんですよね。その後も彼らは、アルバムの最初にシングル1曲だけ入れて、あとは良い意味で裏切ってきて。
The 1975 - Love Me (Official Video)
■Galileo Galileiに共通する点とは
ーー歌詞の面白さにも注目されるんですけど、尾崎さんもそこは気にしていますか?
面白いとは思いますね。アークティック・モンキーズの歌詞にも感じるんですけど、女の子との関係性とか、ドラッグの話とか。日本人にとってはリアルではないですけど、その中から、自分の生活に重ね合わせることができる部分を探して、楽しむっていう感じ。ただ、あの人たちにしかわからないものがほとんどなんじゃないかな。
ーーThe 1975は「ポップ」という枠組みだったら何をやってもいいみたいなっていう音楽性の幅広さもありますよね。
EDMだけはやらないんじゃないすか(笑)。結構マシューって、やりたいことのアイデアをどんどん言っちゃうんですよ。「ドラムが主軸のアルバムを作りたい」とか。それって自分たちの可能性を信じてるから言えることで、そこもかっこいいなと思うんです。サウンドバランスも秀逸で、The 1975のエンジニアを担当しているマイク・クロッシーさんという方は、僕らの音源も担当してもらっているんですが、下心でパラデータ全部送って、戻ってきたのを聴いたら、ドラムとかビートに対しての熱量がすごかったんですよね。
ーーへええ、そうなんですね。
前にThe 1975が新しいアルバムのプロトタイプを紹介している動画があって、そのときはキラキラしたポップだなと思ったんですけど、完成したのはビート感も雰囲気も全然違ったんですよ。だから曲を煮詰めていくプロセスの中で、ものすごい曲変わってるんだろうなって思って。僕らの作り方にも似ていて勇気がもらえたし、「バンドってその作業が楽しいんだよな」と納得したし。彼らも、売れても“根源的な楽しさ”はずっと持ち合わせてるんでしょうね。
■前座を依頼されても「断ります」
ーーそんなバンドが、カバーしたYouTube動画に反応していました。
そうですね。あのシリーズは、僕や家族が住んでる北海道の家の一室で、メンバーがギュウギュウになりながらやってます(笑)。マシューは「日本のバンドでフェスを開催するなら」みたいな質問にもGalileo Galileiを入れてくれてましたね。
The 1975『If You're Too Shy (Let Me Know)』BBHF Japanese Cover Session
ーーコメントでも海外の方が大半ですね。
「日本語でカバーしている」っていうのが面白いんでしょうね。例えば、僕らがよく知ってる曲が仮にインドの言葉で歌われたら、「おもろ」ってなるじゃないですか。もともと英語では絶対歌わないつもりでいて、翻訳したときに起こる独特の言い回しとかシュールさが好きなんですよ。だからあまりストーリーを持たせるというよりかは「日本語を置いていってる」っていう感じです。
ーー2013年の「Chocolate」からだから結構カバー歴は長いですよね。
そうですね。ほかにもライブで結構カバーしてたり、友達の結婚式でバンドで出てカバーしたりとか。ただ数で言うと、実はブラーが一番多いかもしれないです。前のベースの佐孝くんが好きだったんですよね。
The 1975 - Chocolate (GG JP COVER Session)
ーーちなみに来日ツアーには行かれるんですか?
すごく行きたかったのですが、制作とライブの準備が入ってしまっていて、スケジュール的に行けそうになくて…。すごく残念です。BBHFのメンバーのDAIKIくんが行く予定です。ライブ映像はいつもYouTubeなどでも観ていて、今回、“お家の舞台美術”みたいなセットを日本でも踏襲するのかとても気になってます。
ーー個人的には、前座で尾崎さんたちに演奏してほしいという思いもあります。
きっとそれはお断りしちゃうと思います。よっぽど相思相愛か、同じぐらいの位置に立っているバンドじゃないと、どっちのファンにとっても悲しくなるかなと思っていて。実は「Chocolate」をカバーしたあとの来日ツアーのときに、マシューから「僕たちのライブでChocolateを一緒に歌わないか」って誘っていただいたのですが、恐れ多すぎてお断りしてしまいました。リスペクトしてるからこそ、汚す感じがしちゃって……。プレイリストの中で、彼らと音を並べてもらうぐらいで十分です(笑)。

取材・文=東田俊介

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着