後編:雲隠れしてバッシングされた3人
の芸能人

カンボジア代表として五輪に出場するは
ずだった猫ひろし

 柴田英嗣や林葉直子もそうだったように、周囲の混乱を気にせず「失踪」という道を選んでしまう人は、共通して自己中心的な面があるようだ。
 お笑いタレントとして活躍する一方、長距離ランナーの非凡な才能をたびたび見せていた猫ひろし。2010年にはアンコールワット国際ハーフマラソンで3位入賞。この好成績を知り「わが国の代表として2012年のロンドン五輪出場を目指してみないか」と名乗りを上げたのがカンボジアの陸上界。
 2011年11月に猫ひろしはカンボジア国籍を取得。もちろんカンボジア代表として五輪へ出るためである。国は違えど、お笑い芸人の五輪出場に応援の声が集まる一方、「そうまでして五輪に出たいのか」「間に合わせのように帰化しても、国を代表しているとは言えない」「そのせいでカンボジアの選手がひとり出られなくなる」など、倫理的な問題を指摘する批判も少なくなかった。
 猫ひろしの実力は五輪参加の標準記録には遠く及ばなかった。しかし広告塔としての価値を見出したのか、カンボジアオリンピック委員会は彼を代表に選出。賛否はあれど、晴れて「五輪選手・猫ひろし」の誕生……と思いきや、国際陸上競技連盟から待ったがかかった。「過去に国際競技会での代表経験がない」「国籍取得から1年未満かつ連続1年以上の居住実績がない」などの理由から、参加資格なしと判断されたのだ。
 日本国籍を捨ててまで五輪出場を目指したのに、すべてが水泡に帰してしまった。よほどショックだったのだろうか、五輪出場が消滅すると猫ひろしはメディアの前から姿を消してしまった。一時は所属するWAHAHA本舗でも連絡が取れない状態に。まさに「猫、逃げた」だ。
 大騒ぎした結果がこれで、各方面にも顔向けできないのは分かる。しかし、それまではメディアを利用して応援ムードを盛り上げていたのに、不出場が決まった途端に雲隠れというのはいただけない。その後「カンボジアと一緒に成長し、16年のリオ五輪に挑戦したい。カンボジアと日本を行き来して、芸人を続けていく」と語っていた。

 現在はその言葉を実践するかのようにマラソン取り組んでおり、2014年8月にカンボジアで開催された「第一回アンコールエンパイヤ国際フルマラソン」で優勝。タイムは2時間45分28秒と標準記録に届いていないが、リオ五輪に猫ひろしの姿はあるのだろうか?
 柴田、林葉、猫ひろし。いずれも、失踪後の活動は芳しくない。生き残りを賭けたイス取りゲームが絶え間なく繰り広げられている芸能界。一度逃げてしまった者に優しくはないようだ。

(文・編集部)

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