SUPER BEAVER『EIGHT BALL FESTIVAL
2023』ライブレポートーー「今日み
たいな特別な日に、本気を出さないバ
カがどこにいる」

『EIGHT BALL FESTIVAL 2023』SUPER BEAVER
初日の大トリ、そして『EIGHT BALL FESTIVAL』初のクローザーというメモリアルな役割を受けて立ったのは、SUPER BEAVER。満場のフロアに、「『EIGHT BALL FESTIVAL』岡山! まずは愛すべきあなたのお手を拝借」と渋谷龍太(Vo、以下同)が口火を切り、「美しい日」のシンガロングが自ずと発生した瞬間にもう鳥肌。岡山のライブシーンの再生と始まりの日に、このバンドほどの適役が他にいるだろうか? 「俺たちはあなた以上に楽しみに来たんで勝負しようぜ! まごまごしてると置いていくぞー」とフルスロットルで突入した「青い春」でも、春どころか真夏と言っても過言ではない熱気がSOLID STAGEに充満する。渋谷がステージの端でアピールし、柳沢亮太(Gt)と上杉研太(Ba)がセンターを飾るレアなシーンも飛び出し、たった2曲でこの先が心配に、いや、楽しみになるほど(笑)ピーク超え。
SUPER BEAVER
「後ろまで満員御礼、ありがとうございます! トリを仰せつかったのが、今日で19年目を迎えますSUPER BEAVERです。ライブの良し悪しは、俺たち4人がどんなことを伝えるか以上に、あなたがどんなことを俺たちに伝えてくれるのかも、めちゃくちゃ大事で。いいライブをする自信がある人はどれだけいますか?」との問いに、割れんばかりの大歓声で応える観客。「期待してるから、期待してくださいよろしく!」と、どこまで行っても一対一の対峙、共に作り上げる時間と空間。そう今日もSUPER BEAVERはSUPER BEAVERで、会場の隅々から伸びる手と「予感」を奏でていく。コール&レスポンスの間も藤原“34才”広明(Dr)が巧みにボトムを支え、目の前で繰り広げられる光景に、音楽に、今とてつもない力をもらっていることを実感する。
SUPER BEAVER
「地に足つけてここまでやってきたんだ! あなたとこの場所で会うために」と告げるや、ソリッドなギターがいざなった「ひたむき」での、360°どこを見てもクラップという光景はまさに壮観! 続いても「名前を呼ぶよ」と絶え間なく続くアンセムに、4人が歩んできた長い道のりを心地良く突き付けられる。ここで、一日を通してまったくもってタフなオーディエンスに大いなる感謝を述べ、バンドの19年目のスタート=4月1日に『EIGHT BALL FESTIVAL』に出演するという縁に、渋谷が改めてこう語る。
SUPER BEAVER
「紆余曲折、山あり谷ありいろんなことがたくさんあって、30手前までアルバイトをしてたし、21~22ぐらいのときにメジャーデビューして一回にクビになって、そこから10年間インディーズで……。こういう場所で、あなたと一緒に音楽ができることがどれだけ尊いことなのか。俺たちがここに立って当たり前だと思う瞬間なんて、今日一度もなかったね。だからこそ、今日みたいな特別な日に、本気を出さないバカがどこにいるんだと思ってます。自分たちにとって生きる意味になってくれて本当にありがとうと思うから、俺たちもあなたの生きる意味になれたらなと思う。なので俺たちは、あなたたちじゃなくて、あなたに歌います」
SUPER BEAVER
今やライブで多くを語らなくとも、それが音楽になっているSUPER BEAVERだったが、こうやって19年目のスタート地点に改めて思いを口にしたとき、このバンドは、この音楽は、人生を動かす原動力になると確信する。そんな渋谷の並々ならぬ気迫をもって「人として」を放つ愛にまみれながら、「まだまだやろうぜと、あなたに伝えるために俺たちはライブハウスからやってきました。すごく大きな会場なのは分かってる。でも、あなたとならライブハウスにできる気がする」とブチ上げたのは、「東京流星群」。何度SUPER BEAVERのライブを観ても、何度でも奮い立たされる。この曲が岡山の地に、『EIGHT BALL FESTIVAL』の出発点に鳴り響く意義は大きい。
SUPER BEAVER
予定調和のアンコールなし、45分一本勝負。「おい岡山、束になってかかってくるなよ。お前が一人でかかってこい!」。このセリフをまたライブで聞くことができる、特別な日の終わりにSUPER BEAVERが捧げたのは「秘密」。声という声がSOLID STAGEを包み込んだ絶景を前に、渋谷が最後に発した言葉が全てを表していた。「一言だけいい? 最高でした!」。
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取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=後藤壮太郎
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